『search/サーチ』ネタバレあらすじ解説と感想 映画に隠された秘密とは?


『search/サーチ』予告編動画

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『search/サーチ』作品情報

2018年アメリカ映画(原題:Searching)。
全編パソコンの画面上だけで繰り広げられる異色サスペンススリラー。監督・脚本は本作がデビューのアニーシュ・チャガンティ。出演ジョン・チョー、デブラ・メッシング、ミシェル・ラー、ジョセフ・リー、サラ・ソーン他。

『search/サーチ』感想評価

前半は映画『search/サーチ』の感想評価、それ以降はあらすじを結末まで解説しています(ネタバレ)。

『search/サーチ』は行方不明の娘を探す父親を描いたスリラー映画です。全編パソコン画面上で物語が展開するので、新感覚異色デジタルスリラーと呼んじゃいます。

その斬新な演出方法が絶賛され、サンダンス映画祭で観客賞次点となった評価の高い作品です。

デジタルスリラーという言葉は聞いたことがないかもしれませんが、父親役のジョン・チョーが言っていたので使わせてもらいました笑。

Rotten Tomatoesの評価も92%フレッシュと高く、たった100万ドルの製作費に対して、全世界で興行収入7500万ドル以上を稼ぎました。

こんな映画は初めて見る!という方も多いと思いますが、『アンフレンデッド(2014)』というホラー映画が同じ手法で撮られているので、アイデアとしてはそちらの方が先となっています。

しかし『search/サーチ』のほうが断然面白い!

今作が監督デビューのアニーシュ・チャガンティは1991年生まれのなんとまだ20代。インド系アメリカ人です。チャガンティ監督は同じインド系のM・ナイト・シャマラン監督を敬愛してるようですね。作風が確かにちょっと似ている気がします。

彼が制作した「グーグル・グラス」のスポットCMがyoutubeで24時間で100万回再生を記録したことから注目を浴び、グーグルのクリエイティブチームに招待されました。そこでいくつかのショートビデオを製作した後、今回の劇場映画デビューに至ったようです。これからの更なる活躍が期待される若き才能ですね。

『search/サーチ』の撮影期間はたった13日間でした。しかし、編集やアニメーション制作などで完成までに2年も費やしました。やはり全編インターネット上ですから、色々と大変だったようです。

そんな映画『search/サーチ』の感想ですが、本当に面白くて画面に釘付けになりました。ほぼPC画面のみで物語が展開されるので、途中で退屈しないかな?と思ったのですが、そんな心配は全然いりませんでした。

次から次へと画面上の新しい工夫が繰り広げられ、ストーリーも2転3転し、最後までドキドキを楽しむことができました。

画面上の工夫っていうのは、各種デバイスの変化のこと。SNSやその他のデバイス毎に画面の装飾が違いますよね。これは観客を飽きさせないようにする配慮です。

この映画は細かい部分まで配慮が行き届いてます。文字を打つ時間も忠実に再現されています。色々と計算し尽くしていますね。

個人的にツボったのは、カチッカチッていうマウスの音と、パソコン起動時のブーンという音。なんかそれがスゴく不気味に聞こえるんです。胸がザワザワしました。

カチッカチッというクリック音とともに無意識に、何か新発見を期待する父親の心情と重なったのかもしれません。

また、行方不明者を探すって古典ミステリーの王道なんですが、その古典ストーリーをアイデアひとつでこんなにも面白い映画に再構築してしまうっていう監督の手腕もスゴいと思います。天才なんでしょうね。

さて、ここからは映画のあらすじを追いながら、結末までのストーリーを解説していきたいと思います。さらに、一度の鑑賞じゃ分からない映画に隠された秘密も明らかにします!


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ネタバレあらすじ

父と娘の関係


妻のパメラ(サラ・ソーン)を癌で亡くし、高校生の娘マーゴット(ミシェル・ラー)と二人暮らしのシングルファザーのデビッド・キム(ジョン・チョー)は、妻との想い出の写真やビデオをパソコンで鑑賞していた。

妻を亡くし喪失感を抱くデビッドだが、愛する一人娘が健やかに元気に育っていることが唯一の慰めだった。

その日は、マーゴットが友人との勉強会で外泊していた。いつものように娘とチャットするデビッド。テストの出来について聞きたかったが、電話しても娘はつれない態度でそそくさと切られてしまう。

ここで少し父と娘の関係が垣間見えます。寂しい父は何かと娘に構いたいけど、娘はちょっと父をウザいと思っている笑。

ちなみに父娘がやりとりしてるツールはアップル社のFaceTime。父のパソコンはMacで、彼らはアップルユーザーなので。

さて、朝になってもマーゴットから連絡がなく、午後になっても返信がない。娘の機嫌を損ねたかなと心配するデビッドは、会議そっちのけでストーカーのごとく何度もメッセージや留守電を入れる。

しかし返事はない。不安に思い、娘の通うピアノ教室に連絡するが、マーゴットは半年前に辞めたことを告げられる。しかも今日は学校にも行ってないようだった。

いよいよ心配になったデビッドは、弟のピーター(ジョセフ・リー)に相談。さらに娘の交友関係を全く知らなかったので、娘のFacebookやインスタグラムを調べた。

マーゴットの幼馴染の連絡先をようやく見つけ、その母親に連絡すると、みんなでキャンプに出掛けたと知らされる。

一安心するデビッドだったが、翌朝幼馴染のアイザックから連絡があり、マーゴットはキャンプに来ていないと言われる。

ここでようやくデビッドは、サンノゼ警察に捜索願いを出す。娘が失踪してから二日目だった。

さて、ここで『search/サーチ』に隠された秘密を明かそうと思います。

じつは映画のごく序盤で伏線が張られ、結末がどうなるか明かされていました。

それは、デビッドが見ていたネットのニュースです。ほんの一瞬しか映りませんが、「山で9日間遭難していた男性が無事に見つかった」というニュースがありました。

マーゴットがどうなるか早い段階で暗示されていたんですね!

娘の秘密

マーゴット失踪の担当となったローズマリー・ヴィック刑事(デブラ・メッシング)に娘の交友関係を調べるように言われたデビッドは、早速娘のパソコンを探っていく。

探れば探るほど分かったことは、じつはマーゴットには親しい友人は一人もいなかった。彼女は孤独だった。

また新しい事実として、ピアノ教室のレッスン料2500ドルが何者かの口座に送金されていた。

さらにマーゴットは偽造IDも作っていた。次々と明かされる新事実。娘のことを何も知らなかったデビッドは頭が禿げそうになった笑。

そこのお父さん。あなたは娘さんのことを把握していますか?『search/サーチ』は父親にとって大変心苦しい映画だと思います笑。

娘がライブ配信をしていた「YouCast」の録画映像を調べるうちに、ネット上で仲良くしていた「fish_n_chips(フィッシュ&チップス)」なる人物を突き止める。そのユーザーの調査をヴィック刑事に頼むが、ただのウェイトレスで事件とは無関係だと告げられる。

後に分かりますが、ヴィック刑事は嘘をつきました。本当はこのユーザーの調査をしていません。だって「fish_n_chips」は息子ですからね。

ちなみに「catfish(キャットフィッシュ)」というネットスラングがあって、これは偽造写真を使って他の人間に成りすます者を指す言葉だそうです。アメリカ人だったらここで何か気づいたかもしれませんね。

加えて「fish_n_chips」の好きなポケモンのキャラはカクレオン(Kecleon)。カクレオンはカメレオンのように色が変化してカモフラージュするモンスターです。ここでも犯人についてのヒント(伏線)が隠されていました。気づきましたか?

なんとなくマーゴットのインスタグラムを眺めていたデビッドは、ある重要な事に気づく。それは娘が頻繁にバルボサ湖(Barbosa Lake)を訪れていたこと。その湖は、娘が最後に目撃された道路の先にあった。

早速バルボサ湖に向かったデビッドは、湖で娘のキーホルダーを発見する。

このシーンでデビッドはヴィック刑事に電話しますが、彼はバルボサ湖に行くなんて一言も言ってないのに、知るはずのないヴィックが「あなた湖にいるの?」と言っちゃってますね。これは強烈なヒントでした。パニクッてるデビッドは聞き流したようです笑。

二転三転する真相

バルボサ湖でマーゴットの車が発見され、封筒に入った2500ドルも見つかった。ニュースでも大々的に取り上げられ、ボランティアも参加し捜索は大規模なものとなった。

後日、デビッドはネットで娘と絡んでいた少年に詰め寄り、殴りかかるところをネット動画に上げられてしまう。それによりヴィック刑事から、これ以上捜査に関わるなと忠告される。

それでも娘に関する情報をネットサーフィンするうちに、事件現場の写真から、弟のピーター(ジョセフ・リー)と繋がるアイスホッケーチームのジャージを発見する。

マーゴットとピーターの関係を怪しみ、今度は弟を疑うデビッド。

隠しカメラを仕掛け、鬼気迫る迫力で弟を尋問する。しかし、ピーターはマーゴットとマリファナを吸いながら悩み相談を受ける関係でしかなかった。

その時、刑事から電話が入り、犯人が見つかったと告げられる。その犯人はネット動画でマーゴットの殺害を自白し、自ら命を絶った。

そののち警察はマーゴットの死亡を発表し、捜査は終了した。


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ラスト結末

娘の葬儀写真をサイトに登録していたデビッドは、あることに気づく。それは葬儀社サイトの写真の女性が、「fish_n_chips」のユーザー写真と同一人物だった。

調べるうちに、その女性はただのフォトモデルだということが分かった。また、その女性から「警察から連絡なんてなかった」と知らされる。

何かがおかしいと感じたデビッドがサンノゼ警察に電話すると、ヴィック刑事が自らマーゴット事件の担当を熱心に志願したという事実を聞かされた。

ますます怪しいと思い、ヴィック刑事のことを検索していた時、娘の犯人だとされた男がヴィックと一緒に映っている写真を発見した。

デビッドはようやく、ヴィック刑事が事件の真犯人だということを悟る。

葬儀場でヴィックは逮捕され、洗いざらい告白した。

息子のロバートがマーゴットを崖から突き落とした事。障害のある息子を庇うため、事件が終わるように犯人をでっち上げた事を。

ロバートは小学校からマーゴットが好きだった。たまたまネット上でマーゴットを発見し、「fish_n_chips」のキャラを演じ、マーゴットに近づき仲良くなった。

そしてマーゴットが送金してきた2500ドルを返すため彼女と会った際、彼女が悲鳴を上げて騒いだので、崖から突き落としてしまったのだった。

それを隠ぺいするため、母であるヴィック刑事がすべてを工作した。真犯人はローズと息子ロバートだった。親子で共犯者となった。

娘が生きていると信じてやまないデビッドは、救助隊と共に現場の崖を捜索した。そしてついにマーゴットは崖の下で発見され、生存が確認されたのだった。

その後マーゴットは回復し、ピアノレッスンも再開しようとしていた。父と一緒に笑顔で映っている写真をPCの壁紙にし、マーゴットはパソコンを閉じた。終わり。

まとめ

『search/サーチ』はまるでパズルのような作品でした。ネット上に置かれた断片的な情報を繋ぎ合わせ、謎を解いていく。本当にパズルですね。

また、新しい手法を用いてはいますが、決してそのテクノロジーを前面に押し出すことなく、あくまで二次的な役割として映画は作られています。

『search/サーチ』はどんな作品だった?と聞かれたら「親子の愛情物語だよ」と多分みなさん答えるかもしれません。

ストーリーが進行するにつれ、そういえば全部パソコン上だ、なんてすっかり忘れてしまったんじゃないですか。それがテクノロジーを前面に押し出していないことを物語っていますよね。

監督は新しい手法を用いながらも結局、人間を描きたかったようです。「人の秘密を探る」という昔からあるミステリーの基本が、今やインターネットに置き換わっただけなんですね。

それにしてもネットの中を探る行為が、こんなにドキドキして怖いものだったなんて!

昔は足を使って聞き込みし、今はSNSを使って探し出す。

昔も今も人の秘密を探るというのは怖いんです。隠された情報こそ真の姿を表す。『search/サーチ』はそれを現代風に表現してくれた画期的な映画でした。

さて、それでは監督はこの作品で一体何を訴えたかったのでしょう?

新しい技法を使いました。そして人間の秘密を描きました。それだけの為にこの映画を撮ったのでしょうかね。

じゃあ、最初から最後までずっと描かれていた事は何でしょう?

それは、希望です。希望がこの物語の根底にずーっと流れてます。

始めからラストまで父はずっと「娘は生きている」という希望を持ち続けていました。その希望を持った行動で物語は展開していきますからね。最後まで決してあきらめない心。

そしてその希望が、娘を救いました!

そう、チャガンティ監督は希望を描きたかった。希望がこの映画の肝です。

きっと彼の作品はこの先も、希望を根底に物語を紡いでいくものになると思います。

以上、父の希望、信じる心が娘を救った映画『search/サーチ』でした!

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