映画『プレステージ』予告動画
『プレステージ』作品情報
2006年アメリカ映画(原題: The Prestige)。
クリストファー・プリーストの小説『奇術師』を『インセプション』『ダンケルク』の
クリストファー・ノーランが映画化したイリュージョン・サスペンス。出演ヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、スカーレット・ヨハンソン、デヴィッド・ボウイ、レベッカ・ホール。主題歌はトム・ヨークの「アナライズ」。
『プレステージ』あらすじ
舞台は19世紀末のロンドン。マジック興行のアシスタントをしていたアンジャー(ヒュー・ジャックマン)は、同じくアシスタントのボーデン(クリスチャン・ベール)のミスにより、マジック中に妻を事故で失くしてしまう。その後、復讐するためアンジャーはボーデンの興行に忍び込み、今度はボーデンの指を銃で吹き飛ばすのだったが…。
『プレステージ』感想評価
『プレステージ』は19世紀末のロンドンを舞台に二人のマジシャンの泥沼の対立を描いたサスペンスドラマです。プレステージ(Prestige)とはマジックを完成する最終段階のことで、偉業を意味します。
ヒュー・ジャックマンが主演しマジシャン興行を描いているので『グレイテスト・ショーマン』と繋がりが見られます。また、ニコラ・テスラ役は『戦場のメリークリスマス』で日本でも有名なデヴィッド・ボウイが演じています。
主人公二人の名前、アルフレッド・ボーデンとロバート・アンジャーの頭文字ABRAは、手品でよく使う言葉「アブラカタブラ」から取られています。
劇中に出てくる中国人奇術師のモデルは、20世紀初頭に実在したウィリアム・ロビンソンというマジシャンで、白人なのにずっと中国人として振舞い、世間の目を眩ましていた人物です。銃弾つかみのマジックで失敗し生涯を終えました。その際ステージ上で初めて英語を発し、それが最後の言葉になったという逸話があります。
『プレステージ』はマジシャンの話なので、幾つかのマジックの種明かしがあって大変興味深いのですが、映画の出来としてはイマイチだなあという感想です。ノーラン作品の中でも評価はあまり良くありません。
途中までは謎解き的な面白さがあって楽しめるのですが、早い段階でクリスチャン・ベールのトリックが分かるので、ラストの驚きが全然ありません。また、ニコラ・テスラが出てきてからSFチックなトンデモ話になるので、なんじゃこりゃっていう出来の映画になっています。
トリックを見せるならもっとリアリティが欲しかったですね。ニコラ・テスラなら有り得るっていう設定は理解できるのですが、人間複製機とかドラえもんの世界なので。
そういったことで、ここからは映画『プレステージ』の解説と疑問を考察していこうと思います(ネタバレ含む)。
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ネタバレ解説と考察
ニコラ・テスラ
ニコラ・テスラは19世紀から20世紀にかけて活躍した実在の天才発明家。交流電流、無線通信、蛍光灯、電動モーター、X線、テスラコイルなど数々の発明で有名。映画で描写された放電実験がテスラコイル。
交流電気方式は現在全世界で採用されており、家電製品、リモコン、ACアダプタ、ラジオ、携帯電話、インターネット等など、彼の発明は今や我々の生活基盤となっている。
本来は教科書にのるべき人物にもかかわらず、エジソンとの確執や数々の都市伝説から、奇妙な発明家としてその名をはせることになった。『プレステージ』でもそのことが物語のキーとなっている。
彼の一番の発明は、「世界システム」と言われるフリーエネルギーシステム。全世界に電気を送電する塔を建設したが、出資者との関係悪化により資金を確保できなくなり研究は中断された。フリーエネルギーシステムが本当に存在するのならば、民衆は電気を無料で使用でき、永遠にエネルギーに困らない。
「あなたが3,6,9という数字の素晴らしさを知れば 宇宙への鍵を手にすることになる」
ボーデンはロープの結びをわざと間違えたのか?
映画の前半でボーデン(クリスチャン・ベール)が、アンジャー(ヒュー・ジャックマン)の妻ジュリアのロープの結び方を間違え、彼女は水中で事故死します。
果たしてボーデンは、わざと間違えたのでしょうか?その答えは、ボーデンが双子であることが関係しています。
双子であることから、二重結びは危険だという指摘を、もう片方は聞いていませんでした。それを知らなかった双子の片方が二重結びをしてしまったと推測できるので、故意ではないと思います。
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ボーデンは双子か?クローンか?
ボーデン(ファロン)は生まれつきの双子です。ボーデンもテスラの機械を持っていたという疑惑がありますが、ニコラ・テスラには会ってもいないと思います。
アンジャーをテスラに導いたのは、注意を他に逸らし時間を浪費させるためで、マジック興行の人気を独占したかったからです。
人間複製機は以前は存在せず、アンジャーの投資によって完成しています。
ラストに映る人物は?
映画のラストで水槽にいる人物は、複製されたアンジャーです。アンジャーは奇術「瞬間移動」のため、自分をテスラの機械で複製し、それを水中死させ犠牲にしていました。
まとめ
『プレステージ』はマジックのために人生を犠牲にした、二組の男の確執が描かれています。それは復讐合戦です。
ボーデン(ファロン)は双子であることを奥さんにも隠し、私生活を犠牲にした。アンジャーは禁断の機械に手を出しモラルを犠牲にした。どちらが本物のプロマジシャンであるかは明白です。
エゴゆえにモラルを逸した暴挙に出たアンジャーは、人間性まで失ってしまいました。テスラが言ったように、その代価は支払われなければなりません。結果アンジャーは身を滅ぼしました。
そしてボーデンもまた、しつこくアンジャーに手を出したため、双子の片方を失い妻も失う結果となりました。
どちらかが途中で気づき争いを止めていれば、ラストの悲劇は起こらなかったかもしれません。両者痛み分けの結果となった『プレステージ』でした!
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