『ステイ』映画ネタバレ感想解説 夢か?現実か?


映画『ステイ(2005)』予告編動画

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『ステイ』作品情報

2005年アメリカ映画(原題:Stay)。
25時』で知られるデイヴィッド・ベニオフの脚本を『チョコレート』『マシンガン・プリーチャー』のマーク・フォースターが監督したミステリースリラー。キャスト:ユアン・マクレガー、ライアン・ゴズリング、ナオミ・ワッツ、ジャニーン・ガラファロー、ボブ・ホスキンス。

『ステイ』あらすじ

精神科医サム・フォスター(ユアン・マクレガー)は、辛い過去を持つ恋人ライラ(ナオミ・ワッツ)と現在は安定した生活を送っていた。そんなある日、患者として謎の青年ヘンリー・レサム(ライアン・ゴズリング)が現れる。彼は未来を予知する不思議な能力を持ち、土曜日に自分は命を絶つとサムに告げた。心配するサムは彼の素性を調べていくのだが…。

『ステイ』感想評価

『ステイ』は精神科医が謎の患者に出会ってから、その患者の素性を追求するうちに不思議な世界へと迷い込んでいくミステリー映画です。

精神科医をユアン・マクレガー、謎の患者をまだ無名な頃のライアン・ゴズリングが演じています。また、映画『25時』で有名な小説家デイヴィッド・ベニオフの初めて売れた脚本だそうです。

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『ステイ』は夢と現実が入り乱れる不思議な世界観をスタイリッシュな映像で表現していて、映画の中でも言及されるフロイトの夢分析が好きな人には好まれる作品かもしれません。色や繰り返される各シーンの意味など解釈したら面白いでしょう。ちなみにこの映画では黄色がよく使われていて、黄色が表すものは幸せ・喜び・記憶などです。

個人的には『ステイ』の感想を表すなら、劇中のトリスタン・リバー(実在しない?)の言葉「駄作は名作より美しく痛ましい 人間の失敗の証拠であるから」が一番しっくりきます。要するに駄作です。興業的にも大コケしています。

似たような映画なら『ジェイコブス・ラダー』のほうが不気味で面白いです。

本作はシーンのスライドがファンタジー色が強すぎて、ミステリー度を半減させています。ラストのユラユラする映像もなんとかならなかったでしょうか。加えてライアン・ゴズリングの魅力が全然出ていないと感じました。変な前髪のせいでしょうか。

さて、ここからは『ステイ』で描かれたものは夢か現実か?を解説(ネタバレ)していきたいと思います。



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『ステイ』ネタバレ解説

夢か?現実か?

この映画は謎の青年ヘンリーの走馬燈なのか、それとも現実とパラレルワールドが入り混じったものなのか。

結論から言うと『ステイ』は夢オチです。全部ヘンリーの夢の世界です。サム医師をヘンリーに置き換えると分かります。サムを通して、ヘンリーと恋人の関係、ヘンリーと父親の関係、ヘンリーと母親の関係が描かれています。

夢だという証拠は劇中に散りばめられていて、例えばサムのズボンの裾が短いのは事故後のヘンリーがサムを見る視点を表しています。

また21という数字も象徴的で、サムとライラは21階に住んでおり、ヘンリーとサムは21号室の前で口論して、ラストショットの救急車の番号も2121です。これはヘンリーの21歳の誕生日を表しています。

他には、事故を起こしたブルックリンブリッジが何度も映されることや、オープニングのサムの部屋にはヘンリーの絵が飾られている等です。

サムとライラ

サムとライラは、ヘンリーと恋人アシーナの関係の投影です。サムとライラが少々危うい関係であるように、ヘンリーとアシーナも一歩間違えば、客とウェイトレスのような知人程度の関係に成る危うさがあったのでしょう。

だから結婚指輪を渡すのを躊躇していたのかもしれません。でもサムがライラの薬を数えるくらい心配していたのは、ヘンリーも心からアシーナを想っていたことの表れです。

また、アシーナが練習していた「ハムレット(Hamlet)」のつづりは、ヘンリー・レサム(Letham)のモジりであることからヘンリーの夢の中であることが分かります。

親子の関係

レオン医師(ボブ・ホスキンス)はヘンリーの父です。彼が盲目だということはヘンリーのことをあまりよく分かっていない=ヘンリーが父に心を開いていなかったことを表しているのじゃないでしょうか。手をかざし目が見えるようになったのは、ヘンリーが心を開いたことを表現しているように思います。

母との関係は、母が「最近はあまり話してくれない」と言っていることから、アシーナばかりのヘンリーに寂しさを感じていたと思います。一人息子なので。母に寂しい想いをさせヘンリーも悪いと思っていたようです。

まとめ

映画『ステイ』には、事故の生存者が感じる自責の念が背景にあります。唯一生き残ったヘンリーも「許してくれ」と壁にびっしり書いたように、自分をずっと責めているのです。

この夢はヘンリーの自責や後悔で溢れています。ラストでヘンリーが死んだかどうかは曖昧にされているので、生存したかもしれません。何にせよ『ステイ』で描かれたのは、ヘンリーの夢でした。

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