映画「ゴーストライター」予告編動画
「ゴーストライター」作品情報
2010年英・独・仏合作(英国題: The Ghost)。
ロバート・ハリスの小説『ゴーストライター』を原作に『戦場のピアニスト』の巨匠ロマン・ポランスキー監督が映画化した傑作サスペンス。冒頭からラストまで徹底的に練り上げられた物語に引き込まれる。主演ユアン・マクレガー、共演ピアース・ブロスナン、ティモシー・ハットン、トム・ウィルキンソン。
「ゴーストライター」あらすじ
元イギリス首相アダム・ラング(ピアース・ブロスナン)の自叙伝執筆を、破格の報酬で引き受けたゴーストライター(ユアン・マクレガー)。その仕事の前任者が事故死したこともあり、彼は気乗りがしないままアメリカ東部の島へと向かう。同じころ、イスラム過激派のテロ容疑者に対する拷問への元首相の関与が取り上げられ…。
「ゴーストライター」感想レビュー
「ゴーストライター」は、これぞサスペンスのお手本とも言える優れた作品です。セザール賞をはじめ数々の賞も受賞しています。
練り上げられた緻密な脚本は、いつしかこの物語の謎に観る側を深く誘いこんでいきます。それはまるで、霧の中の森深くにさまよい込んだよう。ヒッチコックの世界のような不思議な感覚に包まれます。
「ゴーストライター」におけるロマン・ポランスキーの演出は素晴らしいと言わざるを得ません。サスペンスの何たるかを熟知している撮り方です。
ユアン・マクレガー演じるゴーストライターは、前任者の後を引き継ぎ、元首相の自伝を執筆することになる。しかし彼の周りで起こる不穏な空気に、ゴーストは何かが起きていると察知しはじめる。
特に、彼が籠る海辺の別荘である離れ小島が異様な雰囲気を演出している。薄暗い寒々とした風景は、アメリカではなくイギリスのようだ。そこに住むラングの関係者も、不思議さを助長している。ラングの奥さんもちょっとおかしい人だ。
前任者が残す謎の手がかりの数々。前任者の後を追っているうちにゴースト自身も大きな陰謀に巻き込まれていく。探偵のようなスリル感を味わえ、ゴーストのように見る側も、この謎にどっぷりとつかり、いつしか引き返せなくなっている。まるで海の孤島から出られないような緊張感に襲われる。
そして、最後のドンデン返しに愕然とする。
ああ、物語として完璧な進み方。最後の最後まで楽しませてくれる。
久々にこれぞ映画だ!という作品を見た気がする。
「ゴーストライター」は本当にすごい。ポランスキー・マジックだ。
1960年代の映画のようでいて、新しい映画のような感覚もある。
ロマン・ポランスキーの描き出す奇妙な世界に、はまること間違いないでしょう。