映画『イカロス』予告
『イカロス』作品情報
2017年アメリカ映画(原題:Icarus)。
スポーツ界のドーピング問題を扱ったNetflix配信のドキュメンタリー。監督ブライアン・フォーゲル。第90回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞受賞。
『イカロス』感想評価
『イカロス』はスポーツ界のドーピング問題を扱ったドキュメンタリー映画です。
アマチュア自転車選手でもあるブライアン・フォーゲルが自身の身体にドーピングを試し、自転車レースに参加する実験を行うところから始まり、世界を巻き込むスポーツ界の大事件へと発展していきます。
本作はマクドナルドだけを食べ続けたら身体はどうなるか?で有名な『スーパーサイズ・ミー』から着想を得ており、本年度(2018)アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門でオスカーを獲得した評価の高い作品です。
タイトルの「イカロス」はギリシャ神話の物語で、人間のテクノロジーを批判する神話として知られています。
そんなドキュメンタリー『イカロス』の感想ですが、スゴい面白い映画でした。ドーピング問題が国家的陰謀に発展して、ガチの話だから余計に面白い。
『イカロス』ではロシアの国家ぐるみのドーピングを暴露する博士の話が中心ですが、これは「スノーデン」関連の仕返しかなとも思ったりしました。
ぶっちゃけドーピングなんてまだまだ可愛いモンです。世界の市民を監視している方がよっぽど大問題だと思うのですが。ドーピングなんてどこの国もやってるでしょうし、昔から多くのアスリート達がドーピングを告白しています。
UCLAオリンピック研究所の設立者ドン・キャトリンはこう述べています。
「みんなやってるよ。ひとり残らず」
それにしても、なぜアメリカ選手のドーピング問題には触れなかったんでしょうかねえ。ブライアン・フォーゲルは一体何者なんだろう?ロシアの博士とコンタクトするタイミングが絶妙すぎないか?など興味津々に観賞しました。
ちなみにフォーゲルはスタンダップコメディ出身で、オフブロードウェイの脚本を書いて1本ヒットしたくらいで、大した経歴はありません。
そういったことで、ここからは『イカロス』のストーリーの経緯を簡単に説明していきたいと思います(ネタバレ)。
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『イカロス』ネタバレあらすじ(結末まで)
アマチュア自転車選手でもあるフォーゲルは、自身のヒーローだった「ツール・ド・フランス」7連覇のランス・アームストロングが引退後にドーピングを告白したことにショックを受け、ドーピング検査の欠陥を暴くべく、自分の身体をドーピング実験体にする。
ドーピングを施した状態でアマチュア自転車レースに参加する計画を立て、専門家のアドバイスを受ける為、ロシアの反ドーピング機関所長のグリゴリー・ロドチェンコフを紹介される。
グリゴリーはかなり陽気なオジサンで二人はすぐ意気投合し、お互いの国を訪れたりする仲になる。2014年12月ドイツのTVでロシアのドーピング問題を扱ったドキュメンタリーが放映されたことから、グリゴリーは世界アンチドーピング機構(WADA)の調査を受け続けていた。
そんな中でも二人はコンタクトを取り、フォーゲルはドーピングしながら練習を続け、2015年8月アマチュア自転車レースの「オート・ルート」に参加する。
しかし思うような成果をあげられず、前回より順位を下げ27位の結果に終わる。ドーピングをしたところでトップとの実力の差は縮められないと痛感する。
2015年11月、WADAは調査内容を発表し、ロシアの反ドーピング機関の認可取り消しと所長グリゴリーの解任およびロシアの資格停止を要請する。結果、機関は閉鎖されグリゴリーは辞任する。
その後、国際陸上競技連盟がロシアのオリンピック出場停止処分を下したことから、グリゴリーは身の危険を感じ、フォーゲルはLAまでの航空チケットを用意し国外逃亡させる。LAに無事着いたグリゴリーはフォーゲルらに匿われる。
2016年5月、フォーゲル達はNYタイムズにグリゴリーの告発と証拠を提供し、それが記事になり、世界中にロシアの国家主導のドーピング疑惑がニュースとして報道される。
7月、WADAが調査を依頼した独立委員会のマクラーレン教授が、グリゴリーの告発が事実だとする調査結果を発表する。
WADAはロシアのリオ五輪参加を禁止するように進言したが、国際オリンピック委員会(IOC)はロシアのリオ五輪参加を決める。
グリゴリーはアメリカの証人保護プログラムを受け、名前を変え、現在も米国内のどこかで保護状態にある。
「偽りがまかり通る世の中で、真実を伝えることは革命的行動となる」ジョージ・オーウェル
以上、スポーツ界にはびこる闇を告発したノンフィクションが『イカロス』でした。まるでフィクション映画のような展開で面白かったです!
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