『ミッドナイト・イン・パリ』感想と全あらすじ(ネタバレ)ウディ・アレンの傑作!


『ミッドナイト・イン・パリ』予告動画

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『ミッドナイト・イン・パリ』作品情報

2011年アメリカ/スペイン映画。 (原題:Midnight in Paris)
『アニー・ホール』のウディ・アレン監督・脚本によるパリを舞台にしたロマンティック・コメディ。主演は『ナイトミュージアム』のオーウェン・ウィルソン、共演にレイチェル・マクアダムス、マリオン・コティヤール、キャシー・ベイツ、エイドリアン・ブロディ、カーラ・ブルーニ、マイケル・シーンほか。ウディ・アレンはこの作品で第84回アカデミー賞脚本賞を受賞した。

『ミッドナイト・イン・パリ』あらすじ

ギル(オーウェン・ウィルソン)は婚約者(レイチェル・マクアダムス)と共に、彼女の両親の出張に便乗してパリを訪れる。彼はハリウッドで売れっ子脚本家として成功していたが、作家への夢も捨て切れずにいた。ロマンチストのギルは、あこがれの作家ヘミングウェイや画家のピカソらが暮らした1920年代の黄金期のパリに郷愁を抱いており……。

『ミッドナイト・イン・パリ』感想評価解説

ミッドナイト・イン・パリ』の感想と評価と解説、次ページには全あらすじを載せています。

オープニングから軽快なジャズにのせて延々とパリの美しい街並みが映し出される映画『ミッドナイト・イン・パリ』は、言わずと知れた巨匠ウディ・アレンの秀作のひとつであり、アレン映画としては最も興行収入の高い作品です。

ウディ・アレンと言えばハリウッド嫌いで有名で、アカデミー賞の授賞式には一切出席しないという徹底ぶり(一度だけアメリカ同時多発テロの追悼企画で出演)。

にもかかわらず彼の作品は、アカデミー賞において数多くノミネートされるという皮肉っぷり。この映画でも、ハリウッドの脚本家である主人公に「マンネリ映画の脚本書きからオサラバしたい。ビバリーヒルズのプール付きの豪邸なんてまるで未練ない」とめっちゃ嫌味を言わせています笑。

ウディ・アレンの映画はハリウッド映画ではなく、いわゆるインデペンデント(独立系)映画です。アメリカのインデペンデント系映画の資本は、多くはヨーロッパ資本です。主にヨーロッパへ向けられた配給なので、ヨーロッパのインテリ層が好むアート系作品が多くなっていることが特徴です。

アメリカでは基本的に、都会に住む人間しかこういう独立系は観ません。ですからアメリカのインデペンデント映画は、国内向けというより海外向け(主にヨーロッパ)なので、ハリウッド映画とは一線を画す存在となっています。

アメリカのインデペンデント系の映画監督では、ウディ・アレンをはじめ、ジョン・カサベテス、ジム・ジャームッシュ、ロバート・アルトマン、デビッド・リンチ、ガス・ヴァン・サントなどが有名です。

そんなウディ・アレンの『ミッドナイト・イン・パリ』の感想ですが、美しいパリの街並みを隅々まで堪能できるだけではなく、作品の完成度も非常に高いものとなっています。

ファンタジーであり、コメディであり、実は深いけれど微塵もそれを感じさせないウディ・アレン節がさく裂します。全体的に軽快なテンポで観やすく、それでいて知的好奇心もくすぐる、ウディ・アレンらしい作品ともいえます。

オーウェン・ウィルソン演じる主人公のギルは、1920年代のパリが大好きなんですね。彼の黄金時代として、その時代のパリに強い憧れを抱いています。

そんなギルがある日、突然1920年代のパリにタイムスリップしちゃいます。

タイムスリップした彼が出会う人々はなんと、ヘミングウェイやスコット・フィッツジェラルド、ピカソにダリなど、歴史上の錚々たる人物たち。彼らと交流しながら、ピカソの愛人の女性を好きになってしまって、さてどうなるかって話。

『ミッドナイト・イン・パリ』は適当に名のある芸術家たちを出すんじゃなくて、実際に1920年代にパリにいた芸術家たちが出てくるので、ディテールがしっかりしているところが映画の質を高くしています。

ギルが小説の批評を依頼したガートルード・スタイン女史は当時、実際にサロンを開いていて、ヘミングウェイや、マティス、ピカソなどが映画のとおり集っています。シュールレアリスムのダリには、ルイス・ブニュエルやマン・レイが一緒にいたり。

1920年代のパリに何故多くのアメリカの芸術家たちが集っていたかというと、芸術の都パリへの憧れもありますが、ドルが強かったので、貧乏芸術家でもそこそこの暮らしができたのが大きな理由だそうです。まさに「移動祝祭日」ですね。

ところでこのギルって主人公、誰かっていったらウディ・アレンなんですよね。彼自身があの時代に憧れを抱いていて、自分の小説をヘミングウェイとかに読んでもらいたいんですね。そういうウディ・アレンの夢想を映画にしちゃってます。

ちなみに主人公と恋に落ちるアドリアナ(マリオン・コティヤール)ですが、ピカソの愛人でモディリアーニにも惹かれていたフェルナンド・オリヴィエがモデルだと思われます。劇中でアドリアナが「暗い目をしたイタリア人画家と一緒に暮らしていた」と言ってますね。

さて、この映画の重要な部分は、タイムスリップでも芸術家たちでもなく、ギルが婚約者と合わないって気づいたことと、過去より今が大切だってことに気づいた事だと思うんです。

芸術家肌のロマンチストのギルには、世間体ばかり気にするエセインテリの婚約者家族とは合わないんです。合わない人と一緒にいてもいずれは破綻しますよね。

ギルはタイムスリップを通して成長したんですね。このギルの人間的な成長こそ、この映画の醍醐味です。

その成長をファンタジーにのせて描くなんて、随分イキじゃないですか。

タイムスリップを通して、物語をそこに向かって収束させていき、オチも見事に決まっている。地味だけど非常に完成度の高い映画だなと、つくづく思います。だからこそのアカデミー脚本賞ですね。うーんさすが。

そういったわけで、ウディアレンマジックにひっかかって煙に巻かれないように気をつけて映画『ミッドナイト・イン・パリ』をご鑑賞ください!出来れば2回3回と観ていただきたい作品です。

※全あらすじ(結末まで)は次のページへ

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