『バリー・シール/アメリカをはめた男』ネタバレ感想評価 疑問を解説!


『バリー・シール/アメリカをはめた男』予告動画

スポンサーリンク

『バリー・シール/アメリカをはめた男』作品情報

2017年アメリカ映画(原題: American Made)。
ボーン・アイデンティティー』のダグ・リーマン監督がバリー・シールの実話を基に映画化した伝記ドラマ。出演トム・クルーズ、ドーナル・グリーソン、サラ・ライト、ジェシー・プレモンス、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、アレハンドロ・エッダ、マウリシオ・メヒア。

『バリー・シール/アメリカをはめた男』あらすじ

大手航空会社のパイロットであるバリー・シール(トム・クルーズ)は、勤務の傍ら密輸の仕事をしていた。ある日、シェイファー(ドーナル・グリーソン)と名乗る男から、密輸をネタに仕事の依頼を受ける。それは中南米を相手にしたCIAの極秘任務だった…。

『バリー・シール/アメリカをはめた男』感想評価

前半は感想と評価、後半は内容の詳細な解説をしていきます。

バリー・シール/アメリカをはめた男』は実在の人物バリー・シールの半生を面白おかしくクレイジーに描いた伝記ドラマです。バリー・シールはアメリカでは結構有名な人で、本やテレビ、映画などで何度も題材とされています。

アメリカでの本作の評価はなかなか良く、興行成績も世界で1億ドル以上稼ぐヒット作となりました。

この映画はパイロットの話なので、劇中で何度も飛行シーンが登場しますが、パイロットの免許を持つトム・クルーズが全て吹き替えなしで操縦しています。この人はほんとスタントマンいらずですね。何でもやっちゃいます。

そんな『バリー・シール/アメリカをはめた男』の感想ですが、スリリングな物語でとても楽しめました!

兎に角、このバリー・シールって人の人生がハチャメチャ過ぎて、それだけで十分面白いです。加えて、国やCIAや麻薬組織が絡んでくるので裏歴史も学べて一石二鳥な映画です。

勿論映画的な脚色があるので全部実話ではないのですが、史実の裏の動きを知れる大変興味深い内容になっています。楽しめて、勉強できて、いい映画だと思いますよ。

アメリカ映画界の尊敬する点は、こういう危ない話でもきちんと映画に出来るところです。日本だったらとても無理ですよねえ、こういう政治絡みの映画は。きわどい内容の映画でも、お金をかけてスターも起用出来ちゃうのが、ほんとにスゴく羨ましいです。

さて、映画『バリー・シール/アメリカをはめた男』では様々な歴史的人物や出来事が絡んでくるので、ここからはストーリーの背景の解説・考察(ネタバレ)をしていきたいと思います。本当に実話なのか?あの人物は実在した?



スポンサーリンク

ネタバレ解説と考察

バリー・シールの生涯


ルイジアナ州バトンルージュ生まれ。両親はキャンディの卸売業者。バリー・シールは10代の頃から飛行機の操縦をしていて天性の才能があったようです。17歳で自家用飛行機の免許を取得。

その後、軍隊を経て1964年に航空会社(TWA)に入り、最年少機長としてボーイング機を操縦。映画ではTWA勤務中にCIAにスカウトされていますが、実際は1972年にプラスチック爆弾密輸に関与した容疑で逮捕され、TWAをクビになっています。なのでCIAに協力した話はフィクションです。

1976年にシールはマリファナの密輸を始め、78年にはコカインの密輸を開始します。

1979年シールはホンジュラスで逮捕され80年まで投獄されますが、釈放後も人を雇い密輸事業を拡大させます。さらにコロンビアの麻薬組織メデジン・カルテルとの仕事を始め、1回の密輸フライトで50万ドルの荒稼ぎ。現金がありすぎて困る様子は劇中で描かれていますが、お金貰って溜息つく人を初めて見ました笑。

事業をルイジアナからアーカンソー州のメナ(MENA)に移します。ちなみに本作の初期段階でのタイトルは「MENA」でした。

1983年シールはとうとうDEA(麻薬取締局)に逮捕され10年の実刑判決を受けます。そこでシールはDEAに司法取引を持ち掛け、麻薬取引の情報提供者としてホワイトハウスに協力します。ここからおとり捜査の協力者となるので、映画とは異なり、実際に政府の仕事を受けたのは1-2年です。

1984年、シールの飛行機にカメラを仕掛け、ニカラグアのサンディニスタ政権の大臣とメデジンカルテルの麻薬取引の現場を写真に収めます。その様子は映画で描かれています。その後、ワシントンタイムズにシールの記事が掲載されたことにより、シールの命は危険にさらされ、おとり捜査は終わりを告げます。

ちなみに映画で描かれた妻のルーシー(本名デボラ・シール)は3人目の奥さん。

メデジン・カルテルとは?


1970年代~80年代にかけて隆盛を誇ったコロンビアの一大麻薬組織。バリー・シールの取引相手として映画にも出ていたパブロ・エスコバルが創立。最大で280億ドル(約3兆円)の資産があったとされる。私設軍を持ち、アメリカやコロンビア政府と敵対し、常に抗争を繰り広げていた。

メデジン・カルテルは『ボーダーライン』など様々な映画に取り上げられていて、Netflixのドラマシリーズ「ナルコス」で組織と麻薬戦争の詳細が描かれています。

ちなみに、パブロ・エスコバルやオチョアは映画のようにバリーと親密ではなく、1984年のおとり捜査の際に初めて会ったそうです。



スポンサーリンク

レーガンとサンディニスタ政権

1979年サンディニスタ民族解放戦線はニカラグア革命を成功させ、政権を取りました。サンディニスタ政権はソ連やキューバの共産圏と仲良くしていました。

当時は冷戦時代だったので、これを良しとしないアメリカのレーガン政権は、ニカラグア政権を敵視・干渉しました。特に「コントラ(自由の戦士)」と呼ばれる反政府組織に軍事援助を行い、政権転覆を狙っていました。これをニカラグア内戦と言います。

『バリー・シール/アメリカをはめた男』では、バリーが「コントラ」に武器を運んだり、兵士達を訓練する様子が描かれています。でも兵士達はやる気がなくて逃げ出していましたね。

モンティ・シェイファーは実在の人物?


ドーナル・グリーソン演じるCIAエージェントのモンティ・シェイファーは、実在の人物ではありません。映画用のフィクションキャラクターですね。

本物のバリー・シールは映画のようにCIAとして働いていた事実はないようです。DEAのおとり捜査で短期間政府に協力しただけです。

ラストにシェイファーが言ったイラン云々というセリフは、イラン・コントラ事件という大スキャンダルの実話です。

JBは本当に爆弾で死んだ?


バリー・シールの妻ルーシー(サラ・ライト)の弟JB(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)は、カルテルによる口封じのため自動車爆弾で爆死します。

しかし、JBはフィクションキャラクターで実在の人物ではありません。またバリーの義理の弟が爆死した事実もありません。

ラスト結末

一連の騒動の後、バリーは裁判所で1000時間の社会奉仕の判決を受け釈放。

キリスト教団体である救世軍の福祉施設で毎晩同じ時間に奉仕することになります。それは暗殺にビクビクしながらの毎日でした。

そして1986年、とうとうバリーは施設の前の駐車場でカルテルの雇った殺し屋に暗殺されます。バリー・シールの死因は、銃による射殺でした。これは実話です。

まとめ

『バリー・シール/アメリカをはめた男』は、バリー・シールの実話を基にしたフィクションです。映画の中の彼はアメリカに利用されつつも、それを逆に利用し富を築いた男でした。

危険な状況に晒されながらも、それを逆手にとって楽しんでやろう!という豪快な性格が、この映画を悲劇ではなく、喜劇にしたんじゃないかと思います。

無謀な男の何でもありの狂想曲『バリー・シール/アメリカをはめた男』でした!

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

関連記事