『リアリティ・バイツ』ネタバレ感想あらすじ 青春映画の傑作を解説!


『リアリティ・バイツ』サントラ(All I Want Is You)

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『リアリティ・バイツ』作品情報

1994年アメリカ映画(原題:Reality Bites)。
俳優でもあるベン・スティラーが初監督し、90年代アメリカのX世代を描いた恋愛青春群像劇。出演ウィノナ・ライダー、イーサン・ホーク、ベン・スティラー、ジャニーン・ガラファロー、スティーヴ・ザーン、レネー・ゼルウィガー。

『リアリティ・バイツ』あらすじ

卒業生総代を務めたリレイナ(ウィノナ・ライダー)は、自分たちは何をしていいか分からない世代だとスピーチする。卒業後リレイナはTV局へ就職するが、自分の理想としていた仕事とは程遠い雑用の日々。そんなある日リレイナとヴィッキー(ジャニーン・ガラファロー)の住む家に、トロイ(イーサン・ホーク)とサミー(スティーヴ・ザーン)が転がり込んできて共同生活を始めることになったが…。

『リアリティ・バイツ』感想評価

アメリカのジェネレーションXの若者達の恋と青春を描いた青春群像劇『リアリティ・バイツ』。

コメディ俳優として有名なベン・スティラーの初監督作であり、全編を彩る音楽も魅力的な作品です。『リアリティ・バイツ』のサントラは素敵な曲ばかりで持っている人は多いんじゃないでしょうか。

主題歌でもある「ステイ(リサ・ローブ)」や「マイ・シャローナ(ザ・ナック)」を好きな曲に挙げる人が多いのですが、私のお気に入りはラストで流れるU2の「All I Want Is You」です。あの盛り上がり方がスゴく好きで何回聴いたか分かりません。

『リアリティ・バイツ』の感想は青春映画の傑作と評価されている通り、自分も大好きな作品です。学生から社会に出て理想と現実のギャップに苦しみ、それでも必死にアイデンティティを模索する若者の姿はどの時代においても共感を呼ぶことと思います。

ベン・スティラーはとても初監督とは思えないほど完成度の高い、こんなに素晴らしい恋愛映画を作ったのに、これ以降コメディしか撮ってないのは何故なんでしょうね。

撮影は今や巨匠となったアカデミー撮影賞3年連続受賞のエマニュエル・ルベツキが行っており、この映画の画面から溢れ出る魅力は、彼の功績も大きいと思います。光の使い方に注視してみて下さい。

そして『リアリティ・バイツ』と言えば、いちばん輝いていた時期のウィノナ・ライダーとイーサン・ホーク。この頃のウィノナは抜群に可愛いし、イーサン・ホークもめっちゃカッコ良い!この二人の魅力が輝いています。

「僕はこれだけで満足だ タバコとコーヒーとおしゃべり 君と僕と5ドル」という恥ずかしいセリフも、イーサン・ホークが言うと名言になります。

さてここからは、そんな名言だらけの『リアリティ・バイツ』のキャラクター紹介とあらすじ(物語)の解説をしていきたいと思います(ネタバレ)。



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『リアリティ・バイツ』ネタバレ解説

ジェネレーションXとは?

ジェネレーションXは1960-70年代にアメリカに生まれた世代で、ベン・スティラー、ウィノナ・ライダー、イーサン・ホーク共にX世代。MTV世代とも言われ、劇中で描かれているようにテレビと共に育ってきたテレビっ子。

親はヒッピーやロック、反戦運動のカウンターカルチャー世代で、リレイナの答辞で言及している。ベトナム戦争後のしらけムードのなか育ち、内向的な個人主義で社会に対し冷めている傾向はトロイに見ることが出来る。日本で比較すると学生運動の団塊世代の子供たち。

しかし『リアリティ・バイツ』はX世代と言いつつも、どの時代にも通じる普遍的な青春像を描いている。

リレイナ(ウィノナ・ライダー)


卒業生総代を務めた優秀なリレイナ。仲間を撮ったドキュメンタリー「リアリティ・バイツ(現実は厳しい)」を制作。映像制作志望でテレビ局に就職したが、上司に嫌われクビになる。

ヴィッキー(ジャニーン・ガラファロー)にGAPで働くことを勧められた際、GAPなんかで働きたくないと本音がちらり。しかし再就職活動をするもハンバーガーショップでさえ雇ってくれない。何か意義のあることをしたいと望んでいたリレイナだが現実の壁は高かった。

トロイとの仲がギクシャクした時、サイキックテレフォンにハマる弱い一面も見せる。マイケルとトロイの間で揺れていたが、それはトロイがハッキリしなかったからである。

リレイナが初めからトロイを想っていたのは、トロイがふらふらしているのを見て、本気で怒ったシーンから窺い知れる。トロイのことを理解し心から心配していたのは他ならぬリレイナだった。

ガソリンスタンドで歌う「マイ・シャローナ」は『リアリティ・バイツ』を代表する有名なシーン。「EVIAN」の逆は「NAIVE(世間知らず)」と言うセリフはリレイナのこと笑。

トロイ(イーサン・ホーク)


IQ180の哲学者くずれの皮肉屋でグランジファッションを好む。大学を中退しバンド活動をしながらバイトを転々としているのに女性にもてる。

トロイはX世代を代表するような人間で、仕事に捧げる人生は無意味だと言い、社会を斜めに見下すことでプライドを保っている。それはトロイ自身が一番、自分が何もない人間だと分かっているから。ゆえに「俺はナッシング」と唄う。

トロイは恐れていた。自分の親父のように負け犬のまま人生を終えてしまうんじゃないかって。だから社会を見下すことによって、壊れそうなアイデンティティを保つ。

そんな自分を本気で怒り理解してくれるリレイナは、トロイにとってかけがえのない存在なのである。そしてリレイナにとっても、ズバズバ真実を言われ傷つけられてきたが、本当に自分を理解してくれるのはトロイだった。

マイケル(ベン・スティラー)


ケーブルテレビ局の編成局長。事故でリレイナに会ったことで彼女に惹かれる。トロイとは違って優しくて大人でリレイナに従順だが、リレイナのドキュメンタリービデオを粗雑に扱ってしまったことで彼女の怒りを買う。

トロイにはヤッピーと言われ見下されている。ヤッピーとは若手のエリートサラリーマンの事。

トロイを道化に例えた時、「人間は皆 死ぬときは独りさ」と返され、「じゃあここで誰を捜してる?」と言うセリフが印象的。ベン・スティラーはこのセリフを言う為に、『リアリティ・バイツ』を作ったとさえ思う。

人間は独りだと言ったトロイだが、それでも誰か(リレイナ)を求めてる。人間は独りじゃない。



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なぜトロイは逃げたのか?

トロイとリレイナが結ばれた朝、トロイは逃げるように出かけてしまいます。

なぜ彼が逃げたかというと、それはトロイが皮肉屋だからです。トロイ曰く皮肉屋の定義は「真意を逆の言葉で表現すること」。

トロイはリレイナを大切に想うあまり、皮肉屋なので真意とは逆のことをしてしまったのです。皮肉が体にも染みついているトロイでした笑。

ラスト結末


父の危篤の連絡を受けひとり故郷に帰ったトロイを、リレイナは捜していた。リレイナがトロイの後を追おうと家のドアを開けると、そこにはトロイが立っていた。

父は死んだと告げるトロイ。そしてリレイナに愛を伝えると、ふたりはきつく抱擁するのだった。

ラストでトロイは「宇宙をかいま見た気がする」と言います。

この意味って分かりますか?自分は長い間この意味が分かりませんでした。

そして今気づくのは、父の死を見届け、トロイも父のように宇宙のチリとなってナッシングのまま消えると考えたからだと思います。死んで宇宙の塵になる自分を想像した時、どうしても後悔が付きまといました。

トロイの後悔とは、リレイナに愛を伝えること。宇宙をかいま見て行きついた先は、愛でした。

『リアリティ・バイツ』はハッピーエンドです。アイデンティティをどれだけ模索しても、最後に行きつく先はやっぱり愛だという事をこの映画は伝えてくれたんだと思います。いつまでも心に残る青春映画の傑作です!

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