『海街diary』ネタバレ感想 あらすじと人物相関を解説!


『海街diary』予告動画

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『海街diary』作品情報

2015年日本映画(うみまちダイアリー Our little sister)。
吉田秋生の同名人気コミックを是枝裕和監督が映画化した家族ドラマ。第39回日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞。キャスト:綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず、大竹しのぶ、堤真一、風吹ジュン、リリー・フランキー、樹木希林、加瀬亮、坂口健太郎ほか。

『海街diary』あらすじ

鎌倉に住む香田家の3姉妹、幸(綾瀬はるか)、佳乃(長澤まさみ)、千佳(夏帆)の元に父訃報の知らせが入る。15年も会っていない父の知らせに幸は気乗りせず、葬式に佳乃と千佳だけ行かせる。そこには姉妹の腹違いの妹すず(広瀬すず)がいた。父の再婚相手の山形の家の頼りなさに不安を感じた幸は、すずに鎌倉で一緒に暮らそうと提案するのだった…。

『海街diary』感想評価

前半に映画『海街diary』の感想評価、それ以降は人物紹介と物語の解説をしていきます。

『海街diary』は吉田秋生の漫画を、『万引き家族』でカンヌ・パルムドール受賞の是枝裕和監督が映画化した四姉妹の物語です。是枝監督が原作を読んで大変気に入り、是非映画化したいと思ったそうです。

吉田秋生は『BANANA FISH』や『櫻の園』などで知られる人気漫画家で、出す作品がほとんど映像化されている凄い人。特に『BANANA FISH』は伝説的な作品で、ハリウッドでいつか映画化してほしいなと心から願っている次第です。

吉田秋生の描く漫画は、登場人物の繊細な心情描写に長けているのが特徴なんですね。その描写って映画ではすごく難しいと思うのですが、映画『海街diary』では是枝監督らしい淡々とした日常描写のなかに、姉妹の繊細な心情変化をさらっと上手に組み込んでいました。

ロケ地は舞台である鎌倉の江ノ電、七里ヶ浜、稲村ヶ崎、長谷寺、衣張山など名所で行われています。1年かけて撮影されたので、鎌倉の四季やアジサイも魅力的に映っていますね。こんなに鎌倉が素敵に映されている映画もないんじゃないでしょうか。

(C)2015 吉田秋生・小学館/東宝 ギャガ

姉妹の地元「極楽寺駅」も映画のまんまでとても風情があり、姉妹が住む古民家も鎌倉の実在のお宅を借りて撮影しています。あの縁側とか最高!

こういった日常を描く作品は演技力がとても重要になってくると思うのですが、四姉妹は仲を深めるために、舞台となる古民家で草むしりをしたり料理をしたり、共同作業の時間を過ごしました。

メイキング映像はこちら↓

是枝監督は広瀬すずに台本は渡さず、その場でセリフを言い聞かせていました。これはアドリブっぽい自然な演技を狙ってのものですね。

でも、広瀬すずは広瀬すずにしか見えず微妙でした。全部セリフが一本調子。その代わり、友達役(ゴールキーパー)の三上紗弥という女優さんは非常に上手でビックリ!地元の素人を配役したのかと思うくらい演技が自然で素晴らしかったです。

四姉妹の女優陣のなかで一番良かったのは、綾瀬はるかだと思います。しっかり者の長女役が板に付いていて、振る舞いがとても自然に見えました。綾瀬はるかって天然なイメージなので、こんなしっかり者も演じれるんだと見直しました。

また是枝作品と言えば食事のシーンが印象的で、『海街diary』でも四姉妹が食卓を囲む姿が幾度も描かれています。『海街diary』のレシピ本も出版されているくらい沢山のレシピが登場。しらす丼、しらすトースト、梅酒、ちくわカレー、あじフライ等。

食(しょく)を気を使って描くのは、登場人物の暮らしっぷりのみならず、日本の文化や習慣を分かりやすく表現できるからだと思います。

映画の全体的な評価としては、時間がゆっくり流れていくようなほのぼのとした良作です。ドラマチックな展開はないけど、それが逆に心地いい。原作を上手に是枝節に落とし込んだと思います。

さて『海街diary』は登場人物が多いので、ここからは人物相関を紹介しながらストーリーも解説していきたいと思います(ネタバレ)。



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『海街diary』ネタバレ解説

幸(さち)/綾瀬はるか

(C)2015 吉田秋生・小学館/東宝 ギャガ

香田家の長女。職業は看護師。父の葬式の際、腹違いの妹すずと出会い、鎌倉で同居しないかと誘う。一緒に暮らそうと誘ったのは、すずに自分の面影を見たから。原作では二人ともショートヘアーで性格も似ている。

三姉妹の母の都(大竹しのぶ)と反りが合わず喧嘩ばかりしていたが、最後は仲直りして梅酒をプレゼント。恋人の椎名(堤真一)には一緒に渡米することを誘われるが、すずのために断る。

全体的な感想として、幸は家を自分が守るんだと一人で背負っている感じ。責任感が強くしっかり者ゆえに、父や母のような生き方を受け入れられない意固地な面もある。でも幸の優しさがあったからこそ、すずも鎌倉に来ることが出来た。

強さと優しさを兼ね備えた香田家の大黒柱。映画『海街diary』の主人公と言える。ちなみにいつも探しているアライという同僚は姿が一度も映らない。

佳乃(よしの)/長澤まさみ

(C)2015 吉田秋生・小学館/東宝 ギャガ

香田家の次女。職業は銀行員。酒と男が生き甲斐のチャラ系女子。幸と性格が正反対なので、しばしば衝突する。すずにとってはよく笑わせてくれる面白いお姉ちゃん。

付き合っていた藤井(坂口健太郎)にあっさり振られ、それを機に窓口業務から外回りの融資担当へ。上司の坂下(加瀬亮)と共に、海猫食堂の店主・二ノ宮さち子(風吹ジュン)の担当になるが、さち子は病気で帰らぬ人となる。葬式の際、佳乃が一番感情を露わにしていた。

長澤まさみの明るさが佳乃によくマッチしていて、綾瀬はるかとの掛け合いは絶妙。よっちゃんは香田家のバランスをとるような存在かもしれない。

千佳(ちか)/夏帆

(C)2015 吉田秋生・小学館/東宝 ギャガ

香田家の三女。ほんわかとした独特な子。勤め先のスポーツ店店長(池田貴史)と恋仲。すずの所属するサッカーチーム湘南オクトパスのサポーターでもある。父親に似て釣り好きな一面も。

千佳は姉妹で一番人懐っこい感じであるが、演じる夏帆は極度の人見知りだそうな。にもかかわらず、のほほんとした千佳の性格を見事に醸し出していたのは凄い。原作の千佳はアフロヘア笑。夏帆がアフロにしたら奇抜すぎるかな。

浅野すず/広瀬すず

(C)2015 吉田秋生・小学館/東宝 ギャガ

三姉妹の異母妹。中学生だけど幸に似てしっかり者。山形で父の再婚相手と共に住んでいた。

鎌倉行きを即答したことから、父が亡くなり居場所がなくなったすずの心情が察せられる。鎌倉ではサッカーチーム湘南オクトパスに所属し、持ち前の明るさですぐ馴染み、チームメートの風太とも仲良くデートしちゃう。

鎌倉の生活を楽しむ一方、自分の母が三姉妹にとっては父の不倫相手だということにバツの悪さも感じていた。でも幸の「ここに居てもいいんだよ、ずっと」という言葉に救われる。すずは漫画では主人公ですが、映画ではそこまで目立ってない感じでした。



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何故すずだけ浅野なのか?

三姉妹が香田で、すずだけ浅野という苗字。父親が同じなのにおかしいじゃないか!

その理由は、浅野は父の姓ですが、最初の結婚で香田家へ婿養子に入ったからです。初めの結婚は香田都(三姉妹の母)と、二番目はすずの母、三番目は山形の女性です。二番目の結婚から婿養子ではないので、浅野という本来の姓になり、娘は浅野すずとなります。

『海街diary』の面白い所は、親父はヒドいやつだこの野郎!ってならないで、四姉妹が悩み葛藤しながらも優しい心でその存在を許容しているところ。

ラスト結末

(C)2015 吉田秋生・小学館/東宝 ギャガ

姉妹に良くしてくれた海猫食堂の店主さち子が亡くなり、葬式に参列した四姉妹。

そこですずは、山猫亭の店主(リリー・フランキー)に「お父さんの話し聞きたくなったらいつでもおいで」と言われる。

帰りに海岸に立ち寄った四姉妹は父について語りながら、波打ち際で一緒の時間を過ごすのだった。

まとめ

『海街diary』はその名の通り、「海街に暮らす姉妹の日々」を淡々と描いています。普通の人々の普通の暮らし。でも淡泊に見える姉妹の日常は、季節が移ろい変化するように、ちょっとずつ変化していく。

大きなエキサイティングな展開はありません。むしろ、その小さなドラマの積み重ねを描くことで、人生そのものを描いています。人生ってほとんどの場合、大きな変化というより、小さな変化の積み重ねですよね。誰にでもある人生の一場面を切り取った、そんな映画が『海街diary』だと思います。

四姉妹のほのぼのとした日常と鎌倉の景色に癒されちゃう映画でした!

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