『セント・オブ・ウーマン 夢の香り』感想評価とあらすじ 伝説の演説!


映画『セントオブウーマン 夢の香り』予告編動画

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『セント・オブ・ウーマン 夢の香り』作品情報

1992年アメリカ映画(原題:Scent of a Woman)
イタリアの作家ジョヴァンニ・アルピーノの小説をボー・ゴールドマンが脚色したヒューマンドラマ。ゴールデングローブ作品賞、脚本賞受賞。監督は「ビバリーヒルズ・コップ」のマーティン・ブレスト。主演のアル・パチーノは1992年アカデミー主演男優賞を獲得。共演クリス・オドネル、ガブリエル・アンウォー、ジェームズ・レブホーン、フィリップ・シーモア・ホフマン、ブラッドリー・ウィットフォード。

『セント・オブ・ウーマン 夢の香り』あらすじ

全寮制の名門校ベアード校の奨学生チャーリー(クリス・オドネル)は、アルバイトで盲目の退役軍人フランク(アル・パチーノ)の世話を頼まれる。翌朝、トラクス校長(ジェイムズ・レブホーン)が全校生徒の前でペンキまみれにされるというイタズラが起き、校長はその犯人の顔を知るチャーリーと同級生のジョージ(フィリップ・S・ホフマン)を呼びつけ、犯人の名を明かさないと週明けの特別集会で退学を申し渡すと脅した。さらに校長はチャーリーに大学進学の奨学金を交換条件に提示したが…。

『セント・オブ・ウーマン 夢の香り』感想評価とラスト演説

前半に感想を、後半に演説を載せています(ネタバレ含む)。

「フーアー!」でお馴染みアル・パチーノが盲目の退役軍人を演じた『セント・オブ・ウーマン 夢の香り』。世界的評価も非常に高く、大衆にも批評家にも愛される映画として、今もなお多くの人々の心を捕らえて離さない名作中の名作です。

また、アル・パチーノが本当の盲人にしか見えない圧巻の演技力で見事アカデミー主演男優賞を受賞。名優アル・パチーノでも、まだこの作品でしか主演男優賞を取ってないことは大変驚きですね。「狼たちの午後」と「スカーフェイス」で3度とってもいいくらいですけどね。

『セント・オブ・ウーマン 夢の香り』は、貧乏だけど奨学金で名門高校に通う優しい青年と、頑固で口の悪い盲目の老人の交流を通して、生きることの尊さと美しさを描いています。

ラストのアル・パチーノのもはや伝説となった演説は、何度見ても魂を揺さぶられる名シーンですね。多くの人に聞いてもらいたい魂のこもった名スピーチです。

クリス・オドネルが演じたチャーリー役ですが、レオナルド・ディカプリオもオーディションを受けたそうです。クリス・オドネルは相当地味な感じだったので、ディカプリオが演じていたらどうなったんでしょうね。それも観てみたい気がします。

また、映画に出てくるウォルドルフ・アストリアはヒルトン系列のニューヨークに実在する高級ホテルです。国賓クラスが泊まるアメリカを代表する高級ホテルとして知られています。

タンゴの名曲「ポル・ウナ・カベーサ」を背景にパチーノとガブリエル・アンウォーがタンゴを踊る有名なシーンは、練習に2週間と撮影に3日を費やしたそうです。あのダンスシーンは念入りに作られたんですね。この作品の華となっています。

ガブリエル・アンウォー演じるドナですが、ドナとはイタリア語で女性のこと。「セントオブウーマン」の意味「女の香り」が示す通り、この映画は何故か「女の香り」にこだわっています。それはスレード中佐が香りで、女性の生活ぶりや性格を言い当ててしまう特技を持っているから。これはスレードが“鋭い洞察力を持つ人間”だということを表していますが、タイトルにした意味はよくわかりません。映画を表現するのにそこまで重要ではないと思います。



それにしてもスレード中佐ですが、本当に面白い人です。とにかくめっぽう口が悪い。下ネタのオンパレード。加えてかなりの女好き。キャラが強烈すぎて、彼を見てるだけで飽きません。なんかあったら「フーアー!」て真似しちゃいますよ。

はじめはチャーリーもこんなジイさんの相手するのすごく嫌だったんですね。ニューヨーク行くとかいいだすし。高級ホテルに泊まり、高級レストランで食事。早く帰りたかった。

でもスレード中佐の兄貴の家にディナーで訪れた時、彼の壮絶な過去と孤独を知って同情しはじめる。そして豪華な旅行は、自殺するための最後の贅沢だったと知る。

力強い口調とは裏腹に、スレードの心は悲しみでいっぱいだった。彼は人生を悲観していた。今の自分は役立たずで、ダダ飯を喰らってるだけ。

「俺の何処に人生がある?あるのは暗闇だけだ!」と叫びます。

スレードは孤独と絶望の中に生きていた。しかしチャーリーは応える「あなたはタンゴとフェラーリの運転が上手じゃないですか!」って。

それだけで十分じゃないか。それだけでも立派に生きる理由になる。そんなに深く人生に意味を問うて、悲観する必要ある?楽しいことが一つでもあれば、それで十分じゃないか。タンゴが上手、それで良いじゃないかって。重要なのは人生の意味を問うことじゃない。人生を「生きる」ことだ。

チャーリーの言葉にスレードは光りを見た気がした。盲目なのに、光りが見えた。暗闇の中に差す、希望の光りが。

チャーリーを通し、新たな希望を見出したスレードは、ふたたび人生を歩むことを選択する。『セント・オブ・ウーマン 夢の香り』は語る、生きることの素晴らしさを。

旅を通じて心をかよわせた二人はすっかり、魂の友となっていた。スレードは友人チャーリーのために公開懲戒委員会に保護者として参加する。そしてそこでチャーリーの高潔さを力強く訴えるのだった。

ラストはちょっとずるいんですよね。絶対感動するだろうって流れで。でもそんなものを吹き飛ばすくらい、ラストのアル・パチーノの演説はあまりにも素晴らしく、名言に溢れ心打たれるものです。

力強いその名言は、観る者の人生の記憶となり指針となるに相応しいと思います。

最後に、その素敵な演説を載せて終わりにしたいと思います。

「今は友を平気で裏切る汚いイタチの巣と化した。そういう連中を育てて世の中に送り出すのか。それはこの学校の根本精神を踏みにじる事だ。今日のこのサル芝居は何だ!このサル芝居で私の隣の若者だけが汚れのない魂を持ち続けてる。

俺は多くを見てきた。ここの生徒より若い少年たちが腕をもぎ取られ足を吹き飛ばされた。だが誰よりも無残だったのは、魂を潰された奴だ。つぶれた魂に義足はつかない。

君らはこの優れた兵士を故郷へ追い返すだけでなく、彼の魂を殺そうとしているのだ!
“ベアード校の名を汚した生徒だから”という理由で。その名を汚してるのは他ならぬ君らだ。校長よあなたは言った“ここはこの国の指導者の育成校だ”と。根が腐ってて何が育つのかね?

チャーリーの沈黙の正誤は分からない。だが彼は決して自分の徳のために友を売る人間ではない。それが人間の持つ高潔さだ!それが勇気だ。指導者が持つべき資質はそれだ。チャーリーも岐路に直面した。そして彼は正しい道を選んだ。真の人間を形成する信念の道を。それは困難な道だ。しかし、さあ彼の旅を続けさせてやろう」

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