『ウィンターズ・ボーン』ネタバレ解説と感想 犯人は誰?7つの疑問を解明!


『ウィンターズ・ボーン』予告編

スポンサーリンク

『ウィンターズ・ボーン』作品情報

2010年アメリカ映画(原題:Winter’s Bone)
ダニエル・ウッドレルの同名小説を原作に、デブラ・グラニクが脚本・監督したヒューマンサスペンス。第83回アカデミー作品賞・脚色賞・主演女優賞・助演男優賞ノミネート。
出演ジェニファー・ローレンス、ジョン・ホークス、デイル・ディッキー、ギャレット・ディラハント、シェリル・リー。

『ウィンターズ・ボーン』あらすじ

舞台はミズーリ州。山腹に家族と住むリー(ジェニファー・ローレンス)は、精神的な病を持つ母と幼い兄弟達と暮らしていた。ある日、保釈中の父が失踪したことを保安官より告げられる。父が裁判に姿を現さなければ、土地と家は担保として没収されてしまうことを知り、リーは父を探しに叔父ティアドロップ(ジョン・ホークス)の元を訪れるのだが…。

『ウィンターズ・ボーン』感想評価

『ウィンターズ・ボーン』はミズーリ州南部のオザーク山脈を舞台に、山腹の痩せた地に住む「ヒルビリー」と呼ばれる人々のコミュニティーで生きる家族を描いたサスペンスドラマです。インディペンデント映画ですがアカデミー作品賞にノミネートされた他、サンダンス映画祭グランプリなど非常に評価の高い作品です。

また主演のジェニファー・ローレンスのブレイク作でもあり、本作で若干20歳にしてアカデミー主演女優賞にノミネートされました。

「Winter’s Bone」の意味は冬の骨ですが、これはアパラチア地方に古くからある表現(冬の骨を見つけた犬が穴を掘る様)から取ったもので、主人公リーのように探しものを見つけるまで決して諦めないという意味があります。

そんな『ウィンターズ・ボーン』の感想ですが、これはほんとに良い映画です!終始不穏な空気が流れ、緊張感のある上質なサスペンスとしても観れるし、人間ドラマとしても観れます。

『ウィンターズ・ボーン』で描かれているのは、目に見えない暴力です。村社会の掟の内に潜むドメスティック・バイオレンス。劇中に暴力的な表現はほとんどありません。ひっそりと知らないうちに行われる見えない暴力が描かれます。

主人公の17歳の女の子のハードボイルド的な無邪気な詮索が、コミュニティーの危うい均衡を静かに揺さぶる様を、寒々とした風景とともに、ゆっくり、刻々と捉えていくのです。高い評価も頷ける良質な作品だと思います。

さて『ウィンターズ・ボーン』は観賞後にもいくつかの疑問が残ると思いますので、ここからは映画の背景の説明と、7つの疑問を解説(ネタバレ含む)していきたいと思います。



スポンサーリンク

7つの疑問点解説(ネタバレ)

ヒルビリーとは?


主人公リーの家族をはじめ、オザーク及びアパラチアに住む人々は「ヒルビリー」と呼ばれ、19世紀に人里離れた山腹に定住したスコッチ・アイリッシュ系の子孫です。スコッチ・アイリッシュとはスコットランド出身のアイルランド経由でアメリカに渡った人々。今ではヒルビリーという言葉は田舎者の蔑称として広く使われています。

ヒルビリーにはスコットランドの伝承や民話が受け継がれているのが特徴。それ故コミュニティーには独特の掟があるようで、『ウィンターズ・ボーン』でも「掟」という言葉がしばしば見られます。

また、遠い近いの差はあれどみんな親戚関係なので一族と言えます。ネイティブアメリカンで言うところのアパッチ族とかそういう感じだと思います。だからリーは父が殺されても警察には行かず、一族の掟に従ったのでした。

彼らの音楽はヒルビリーミュージックと呼ばれ、カントリーミュージックの起源のひとつと考えられています。劇中でも描かれているようにバンジョーによる演奏が特徴。叔父ティアドロップが、リーの父はバンジョーが得意だったと言ってますね。

映画では、貧困ゆえにコミュニティー全体で麻薬の密造に関わっている様が映し出されます。だから密告者には掟として「死」が待ち受けているのです。非常に閉鎖的な村社会です。

原作者のダニエル・ウッドレルはオザーク出身なので、貧困、麻薬、一族、掟といった映画の背景は、衝撃的ですが実話です。

家が担保に


リーの父が麻薬密造で捕まり保釈後に姿を消したことから、保釈金の担保である家と土地は没収される寸前。だから家族のためにリーは何が何でも(父の生死に関わらず)父の行方の証明が必要なのです。リーが危険を顧みず動いた強い動機は、幼い兄弟のためです。父のためではありません。

そこには、父が生きていて欲しいというメルヘンチックな願望を捨て去り、非情な現実を受け入れる、強くそして孤独なリーの姿がありました。

焼け跡の廃墟は何?

リーがいとこに無理やり連れていかれた焼け跡が残る廃墟は、麻薬の製造所です。

このことから父ジェサップは密造のスペシャリスト(リー曰く父はミスしない)であり、コミュニティー全体で麻薬に関わっているのが分かります。

父がここで焼死したと嘘をつかれたので、リーはいとこに唾を吐いたのです。

サンプ・ミルトンは何者?


リーが必死に探していたサンプ・ミルトンは、あの地域の麻薬を取り仕切るボスです。牛のオークション会場に居たこと等から、結構裕福だと思われます。

大人社会への十分な理解がないリーは、ボスを追いかけ回すという大変危険なことをしていたのです。



スポンサーリンク

ティアドロップが車を壊したのは何故?

ティアドロップが突然夜中にリーを起こしバーへ連れていきます。そしてレイという男に詰め寄り、車のフロントガラスを壊します。

あの意図が何かと言うと、彼らに遺体のありかを吐かせるためです。「これ以上待てない。連中をつついてみよう」と言っています。

その後、ミルトンの女達がリーを訪れ遺体のありかを教えました。

ジェサップは何故密告した?

父ジェサップが密告したのは、10年の刑期を逃れるため。それは本当は家族のためです。

自分が10年も刑務所に入れば、家族が路頭に迷うからです。ティアドロップが「弟は家族想いだ。それが弱さだ」と言っています。

ジェサップの密告は何故ばれた?

ジェサップの密告がミルトン達にばれたのは、保安官が情報を漏らしたからです。

「お前のせいで弟が死んだ」とティアドロップが言っています。あの地域を担当する保安官は、麻薬組織に買収されているのでしょう。

父を殺した犯人は誰?

ラストにティアドロップが、ジェサップを殺した犯人を知っていると言っています。

犯人は一体誰でしょう?
推測ですが、おそらくレイという背の高い男を含む3人が実行犯だと思われます。父の元恋人が「3人の男と一緒にいるのを見た」と証言しているのと、ティアドロップがレイの車を壊したのは、彼らが犯人だと知っていたからではないでしょうか。

ですから犯人は、レイを含む3人の男で、指示を出したのはサンプ・ミルトンです。ミルトンがリーから逃げ回っていたのは、そういうことです。

ちなみに父ジェサップの保釈金を出したのも、ミルトンだと思われます。警察との司法取引に応じたジェサップはミルトンを密告し、裁判の時に証言する予定だったのでしょう。だからミルトンは保釈金でジェサップを仮釈放させ、殺害したと思われます。

まとめ

以上のように『ウィンターズ・ボーン』では、現在もアメリカに根強く残る村社会の実態と、そのコミュニティーから抜け出そうと奮闘する少女の姿を描いています。ロケも現地ミズーリ州で行われ、住まいや着ている服などヒルビリーの生活をリアルに描写しています。

あの地域の人々にとって貧困から抜け出すには、軍隊に入って奨学金を貰い、大学を卒業するという限られた選択肢しかないのです。リーにとって軍隊は、将来への希望なのです。

そして怖かった叔父のティアドロップは、本当は陰からリーたちを見守る家族想いの優しい叔父でした。今後は彼がリー達の父親代わりになっていくことでしょう。

↓ジェニファー・ローレンス他作品

「世界にひとつのプレイブック」ネタバレ感想評価 イカれた男女の恋の結末は?
映画「世界にひとつのプレイブック」感想評価とネタバレ解説。クレイジーな男女の恋愛の結末までを解説します。
スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

関連記事