『女神の見えざる手』ネタバレ感想評価 5つの疑問を解説!


『女神の見えざる手』予告動画

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『女神の見えざる手』作品情報

2016年アメリカ/フランス映画(原題:Miss Sloane)。
『恋におちたシェイクスピア』のジョン・マッデン監督が政治のロビー活動を題材にしたポリティカルドラマ。出演ジェシカ・チャステイン、マーク・ストロング、ググ・バサ=ロー、アリソン・ピル、ジョン・リスゴー他。

『女神の見えざる手』あらすじ

天才ロビイストであるエリザベス・スローン(ジェシカ・チャステイン)は、銃規制強化法案に対する主張の違いから元の会社を辞め、新しいロビー会社へ移籍する。法案を通すため議員たちへのロビー活動にいそしむスローンだが、銃ロビーの反撃により次第に窮地へと追い込まれていく…。

『女神の見えざる手』感想評価

※感想にネタバレが含まれますのでご注意ください。

それは勝利への執着か?それとも信念か?

『女神の見えざる手』は、どんな依頼も勝利に導く凄腕女性ロビイストの活躍を描いたサスペンスチックな政治ドラマです。ロビイストが何かは後で解説します。

政治ドラマというと堅いイメージですが、この映画は女主人公の強烈な個性と策略を中心に描いているので、人間ドラマとも言えますね。原題だと主人公の名前がそのまま使われています。

その天才女性ロビイスト役を『ゼロ・ダーク・サーティ』のジェシカ・チャステインが熱演し、『キングスマン』のマーク・ストロングや『クローバーフィールド・パラドックス』のググ・バサ=ローが脇を固めています。

『女神の見えざる手』はアメリカでの評価は微妙な感じなんですが、個人的にはだいぶ面白かったという感想です!

全体的に良く出来た構成で、メッセージ性も強く感じられ、なんと言ってもラストの大ドンデンは最高でした。映画全体が観客を騙す構成になっているんですよね。こういうの好きです。

ただ、前半は専門用語が多くテンポがかなり速いので2回観たほうがいいですね。ついでに、弁護士役がちょっと弱いですね。最初から最後まで出てくる意外と重要なキャラなんですが、
すごく印象が薄いです。もっとクセのある俳優さんにした方が良かったなあと思いました。

『女神の見えざる手』は主人公の個性が強すぎて、そちらばかりに目が行ってしまうと思いますが、この映画は銃規制強化を強く訴えている映画です。銃規制絶対賛成!っていう。

最近もフロリダの高校での銃乱射事件をきっかけに、高校生を含む若い世代の銃規制運動が全米規模で広がっています。銃社会アメリカとは言いつつも、銃を簡単に買えちゃうのは本当に深刻な問題なんですね。スーパーで5分で銃が買えるとかヤバくないですか?

なので銃規制を強く訴えるとともに、政治腐敗の裏側も描いた映画が『女神の見えざる手』です。その銃規制メッセージの伝え方がかなり特殊なので独特な風味を醸し出しています。

さて、ここからはそんなちょっと知識のいる映画『女神の見えざる手』の解説(ネタバレ)をしていきたいと思います。



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ネタバレ解説

ロビイストとは?


ロビイストとは、国の政策や法案に対して影響を与える活動をする個人や団体です。簡単に言うと政治を陰で動かす人々。例えば、企業が自分たちにとって有益な法案を通させる為、ロビー活動をします。

『女神の見えざる手』では銃規制強化法案に賛成するロビー会社に雇われた女性が主人公なので、ロビイストの活動が詳しく描かれています。

米国では政治的腐敗を防ぐため、ロビイストは登録することが法律で義務づけられていて、その数は約3万人だそうです。

銃規制に反対する全米最強のロビイスト集団が全米ライフル協会(NRA)。NRAの影響が大きいので、アメリカはなかなか銃規制強化に取り組むことが出来ていない状況です。

主人公のスローン(ジェシカ・チャステイン)は元は銃規制に反対する会社に勤めていましたが、意見の相違から辞職し、シュミット(マーク・ストロング)がCEOの銃規制に賛成する会社「ピーターソン・ワイアット」に引き抜かれました。

ヌテラ税とは?

スローンが初めにしていたインドネシア関係の仕事は、ヌテラ税に反対する仕事です。

ヌテラ税とはパーム油にかかる税金。パーム油は植物油でスナック菓子やインスタント食品によく使われています。「ヌテラ」というチョコレートの原料にパーム油が20%近く含まれている為、この名で呼ばれるようになりました。

パーム油が増税されると、食品の値段がべらぼうに高くなってしまい、企業によるパーム油の使用が減少します。それはインドネシアにとって大打撃となるので、インドネシア政府にスローンは雇われたということです。

ちなみにインドネシアでは、パーム油のプランテーションによる森林伐採が国際的な問題となっています。

スローンが服用していた薬は何?

スローンはめちゃくちゃに働く人で不眠症に悩まされていました。

彼女が携帯しトイレ等で飲んでいた薬は、精神刺激薬です。仕事へのプレッシャーや不安を、薬に頼ることで解消していたのでしょう。

一見スーパーガールのように強く見えますが、実は弱い女性なんだという表現ですね。

ソクラテスは何も書いてない?


ギリシャの哲学者ソクラテスは本を何も書いてないと秘書ジェーンに教えられたスローンは、じゃあなぜ有名になったの?と聞きます。その答えは劇中では描かれていません。

ソクラテスは確かに著作がなく、プラトンなどの弟子がその思想を本で伝えています。

ソクラテスが有名になったのは勿論優れた哲学的な思想が有ると思いますが、それだけではなく、弟子が伝えるくらいの素晴らしい生き方をしたからだと思います。

ソクラテスの言葉「単に生きるのではなく、善く生きる」に、彼の生き方や信念が表れています。

事実ソクラテスは、民衆を惑わしたという不条理な訴えで死刑判決を受け、いつでも逃亡できたのにも関わらず、不正を行わず死を選びました。

映画ではソクラテスを詳細に語っていませんが、彼の「善く生きる」という信念は、スローンの生き方=信念に繋がっています。

勝利への執着心?それとも信念?


ラストでスローンは、議会における偽証罪での自身の5年の刑期と引き換えに、敵対側のデュポンの脅迫を盗撮したビデオを公開します。

「自分の利益のために祖国を犠牲にし民主主義を蝕む汚いネズミたち」の悪事を暴いてみせたのです!これには本当に胸がスカッとしました。と同時にアメリカ政治に対する強烈なメッセージを感じました。

エズメを利用したり目的のために手段を選ばないスローンの手法は、仲間からも批判を浴びました。本当は銃規制に全く興味がなくて、興味があるのは勝つことだけじゃないか?

しかし実際は、勝利への執着ではなく「信念」のためだったんですね。

じつは最初からスローンは「わたしは信念の為に働いている」と言っています。信念の為に、絶対に勝利する必要があったのです。

彼女の信念とは、良心に従う善い行い。今回は銃規制強化法案を通すこと。その善い行いのために己を犠牲にした生き様は、ソクラテスの生き方とも繋がります。彼女の犠牲の精神に最後は感動を隠せませんでした。

「キャリアを捨てるほうが、命を捨てるよりマシよ」という彼女の言葉が響きました。

なので、映画のラストの問い「勝つ能力以外に信じるものは?」の答えは「正義」だと思います。

まとめ

『女神の見えざる手』は銃社会アメリカへの強烈なメッセージです。

スローンは安全な社会を願う多くのアメリカ国民の代弁者であり、平和で安全な社会を実現したいと多くの人が感じる当たり前のことを、ミス・スローンもあたり前に感じていただけなんですね。

『女神の見えざる手』は、腐敗した政治的現状を国に対して問い、正義の為に信念を貫き通したひとりの女性の生き様を描いた良作でした!

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