『メッセージ』ネタバレ解説感想 映画の核心を解読!


映画『メッセージ』予告編動画

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『メッセージ』作品情報

2016年アメリカ映画。
『メッセージ(原題:Arrival)』は米作家テッド・チャンの短編小説「あなたの人生の物語」を原作にエリック・ハイセラーが脚本を執筆し、「プリズナーズ」「ボーダーライン」のカナダの鬼才ドゥニ・ヴィルヌーヴが監督を務めたSFドラマ映画。主演は「アメリカンハッスル」のエイミー・アダムス。「ボーン・レガシー」「ハート・ロッカー」のジェレミー・レナー、オスカー俳優フォレスト・ウィテカーが脇を固める。他キャスト:マイケル・スタールバーグ、マーク・オブライエン、ツィ・マー。

『メッセージ』あらすじ

ある日、突如として地球上に降り立った巨大な球体型宇宙船。言語学者のルイーズは、謎の知的生命体との意思疎通をはかる役目を担うこととなり、“彼ら”が人類に何を伝えようとしているのかを探っていくことになる。そして導き出された驚愕の答えとは…。

『メッセージ』感想レビュー

まず始めに、あれは「ばかうけ」ではありません。コンタクトレンズでもありません。宇宙船です、はい。「ばかうけ」はあんな空中に止まったりしません。食べて下さい、はい。

映画『メッセージ』は優れたSF映画の傑作です。「2001年宇宙の旅」のような刺激的で衝撃的な新しいSFを観たなという感想です。説明も言葉もいらない、とにかく見ろ。と強くおすすめ出来ちゃう素晴らしい作品です。

はじめB級映画だと思って観ていたけど、物語のまさかの壮大な展開にビックリして、つい、ばかうけを買っちゃいました。

世界的な評価も非常に高く、たくさんの賞レースでノミネートや受賞をしています。第89回アカデミー賞では、作品賞を含む8部門にノミネートされ音響編集賞を受賞しました。

この映画の魅力はやはり「時間」を扱っているところだと思います。

オープニングが過去の回想かと思いきや、いきなり未来から始まるという、好奇心を刺激する面白さ。フラッシュバックならぬフラッシュフューチャーですね。

『メッセージ』は難解だと言われていますが、言語の部分くらいで、あとは明快だと思うのですがいかがでしょう。

宇宙人が来て、言語学者がその言語を解明して、未来が見えるようになって、世界の危機を解決する。自分の個人的な未来にも立ち向かっていく。という話で、誰にでも理解できるように易しく作られています。フィボナッチ数列とか気にしなくて全然大丈夫。

そういったことで、映画『メッセージ』の物語を追いながら疑問点などを詳細に解説・考察していこうと思います。※ここからネタバレあり。

『メッセージ』ネタバレ解説

物語序盤

突然、世界12の地域に謎の半円型UFOが出現します。UFOは地上から数メートルの距離にとどまって静止したまま。なかなか不気味です。全世界の政府はコンタクトを取ろうと、宇宙船内部の宇宙人たちと接触を開始します。

言語学者のルイーズ博士は軍から宇宙人の言葉を翻訳せよ、とムチャぶりを受けた一人。物理学者のイアンと協力し、タコ足型宇宙人ヘプタポッドと接触し宇宙言語の翻訳を開始します。彼らが来た目的を知るために。

タコ墨みたいにプシュ~と描かれるヘプタポッドの文字は円環型で、表意文字です。文字自体が意味を表していて、漢字みたいなもんです。欧米はアルファベットなんで文字に意味はないですが、漢字は1つの文字を見れば大体意味が分かる。

ヘプタポッドの文字は、あの丸が1つの文章で、円ということは過去現在未来がないことを表しています。「彼らの文字に時系列はない」とイアンが言っています。要するに「時間」という概念がない。



サピア・ウォーフ仮説

映画の中盤からルイーズのフラッシュバックが頻繁に起こるようになります。

劇中で説明がある通り、サピア・ウォーフ仮説は「思考は話す言語で形成される」ということ。簡単に言うと、話す言語によって性格や考え方が違ってくると。

英語と日本語を比較すれば明らかですね。ストレートな性格のアメリカ人に、あいまいな性格の日本人。英語は主語の次に行動の結果を示す動詞がきます。要するに結論が先に求められる。日本語は動詞は最後なので、結論は後回しになる。性格や思考に影響を与えていると思いませんか?

映画で何が言いたいかというと、「時間」という概念のない宇宙人の言葉を学ぶルイーズにも
宇宙人と同じような思考が見についた=未来が見えるようになった。ということです。

よって宇宙語を学べば学ぶほど、未来を見る能力が開花していきます。

余談ですが、よく考えると思考には初めから時系列がありませんよね。未来を夢想したり過去を振り返ったり、時間のどこにでも瞬時に飛ぶことができます。思考には「時間」がないと言えますね。そう考えると「永遠」というもののヒントが垣間見えるかもしれません。

物語の結末ラスト

地球の危機が迫ろうとしている時、ルイーズはひとり宇宙船の内部へ招待されます。そこで初めてヘプタポッドは地球へ来た目的を明かします。

彼らが来たのは、人類を助けるため。また、3000年後に人類の助けが要るという理由でした。そしてルイーズに武器を使えと告げます。

武器を使うこと=未来を見る力により、ルイーズは世界の危機を救うことができました。

さらにルイーズはもうひとつの真実を知ります。フラッシュバックで見ていた女の子が自分の娘だということ。娘の誕生から死までの人生を全て、妊娠すらしていないのにルイーズは見てしまったのです。

さてここからが映画の核心です。何故それでもルイーズはその未来を選択したのでしょう?

それは、、、愛は永遠だからです。

ルイーズは未来の娘を愛し、現在も愛し、失ってもずっと愛し続けることができます。愛することに「時間」は関係ありません。ルイーズは「時間」の概念のない思考を身につけたので、愛にも「時間」がないことに気づいたのです。

娘を病気で失う未来よりも、娘への愛が存在しない未来のほうがよっぽど嫌だったのです。ハンナが生まれてくれば、過去現在未来に関係なく、娘への愛はずっと存在し続けます。愛には時間を超えた永遠性があります。

それに気づいたからこそルイーズは、その未来を選択することにしました。娘を愛することを選択したのです。失うことを選択したんじゃなく、愛することを選択しました。

そして物語はラストから、娘の人生が始まります。オープニングがラストで、ラストがオープニング。『メッセージ』は映画自体に時間の概念がなかったようです。

時空を超えて彼らは愛を伝えにきました。未来が見える力じゃなく、愛が見える力を。
映画『メッセージ』は、愛の物語です。

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原作本「あなたの人生の物語」

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