『パンズ・ラビリンス』ネタバレ感想と解説 3つの試練の解釈!


映画『パンズラビリンス』予告動画

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『パンズ・ラビリンス』作品情報

2006年メキシコ/スペイン/アメリカ映画(原題: El laberinto del fauno 英題: Pan’s Labyrinth)。メキシコ出身のギレルモ・デル・トロが脚本・監督したダークファンタジー。内戦後のスペイン暗黒時代に生きる少女の現実と幻想を描く。第79回アカデミー撮影賞、美術賞、メイクアップ賞受賞。出演イバナ・バケーロ、セルジ・ロペス、マリベル・ベルドゥ、アリアドナ・ヒル、ダグ・ジョーンズ。パンズラビリンスは「パンの迷宮」の意。

『パンズ・ラビリンス』あらすじ

1944年のスペイン。おとぎ話が好きな少女オフェリア(イバナ・バケーロ)は、母の再婚相手ビダル大尉(セルジ・ロペス)の砦で住むことになる。レジスタンスとの戦いの最前線である上に、妊娠中の母を持つオフェリアは不安な日々を予感していた。そんなある夜、虫に変身した妖精がベッドに訪れ、オフェリアを導くように森の中の迷宮に誘う。そこで出会ったのは羊の角を持つパンと名乗るモンスターだった…。

『パンズ・ラビリンス』感想評価

『パンズ・ラビリンス』は内戦後のスペインに生きる薄幸の少女の現実と幻想を描いたダークファンタジー。政府とゲリラによる現実の戦いと少女の幻想世界の物語が進む2軸構成となっています。

世界的な評価も高く多くの賞を受賞している映画です。特にモンスターの造形が素晴らしく、視覚的に大いに楽しめますよね。しかしファンタジーと言えど、お子様に見せるには少々グロい場面があるので大人になってから見せましょう笑。

ギレルモ・デル・トロ監督は知られている通り、日本のアニメや漫画の大ファンで、かなりのオタクです。多分その辺の日本人より詳しいんじゃないでしょうか。監督は宮崎駿のファンでもあり、『パンズ・ラビリンス』でも、病弱な母のいる少女が森の中で妖精と出会う設定なんて「となりのトトロ」みたいですよね。あと個人的な願望ですがギレルモ・デル・トロには大友克洋の「童夢」を是非映画化してほしいです。

そんな話は置いといて『パンズ・ラビリンス』ですが、これはスゴイ映画だな!という感想です。

まず現実とファンタジーを上手にリンクさせて描く緻密な構成が素晴らしい。ゲリラ達の戦いの行く末にドキドキし、少女の試練の行く末にもドキドキする。どっちの物語の展開も飽きさせない、またビジュアル面も飽きさせない。全体がとても綺麗に纏まっていて、非常に完成度の高い作品だなと思います。

心が震える感動作!とはいきませんが、こういう世界観を創りだす才能に単純にビックリしちゃいます。特に怪人ペイルマンはキモ面白くて、登場時間は短いのに強烈に印象に残るモンスターです。

果たして少女が見る世界は妄想なのか現実なのか?オフェリアは本当に王女なのか?ここからは物語の背景の解説と3つの試練の解釈(ネタバレ)をしたいと思います。



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『パンズ・ラビリンス』ネタバレ解説

フランコ政権

『パンズ・ラビリンス』は1944年のフランコ独裁政権下のスペインが舞台となっています。

1936年から39年まで続いたスペインの内戦において、フランコ将軍を中心とした右派がクーデターを起こし、ナイツドイツ・イタリアの支援を受け政府側に勝利し、ファシスト政権を樹立しました。1944年は第二次世界大戦下であり、ちょうど連合国がフランスのノルマンディー上陸を行った頃です。ですから元共和国派の市民たちは、連合軍が独裁政権を倒してくれると期待したのかもしれません。

スペインはドイツへの支援等を行っていましたが、名目上は中立国なので、連合国に攻め入られるということはありませんでした。しかし戦後は、ファシスト政権であることが非難され国際的に孤立しました。

スペインの独裁政権は1975年のフランコの死まで続き、その後民主主義に移行しています。映画のラストではゲリラ達が勝利していますが、実際には独裁は長く続きました。

1つめの試練

オフェリアが妖精に導かれ森の中の迷宮を訪れると、そこには迷宮の守護神パン(ギリシャ神話の牧羊神)がいた。パンはオフェリアが地下王国のモアナ王女か確かめるため、3つの試練を言い渡す。

1つ目の試練は、枯れた大木の根元に棲む大ガエルの口に魔法の石を放り込み、黄金の鍵を取り出すこと。

さて、この試練は何を意味しているのか?

これはオフェリアの「勇気」が試された試練。汚くて気持ち悪いカエルに立ち向かってオフェリアは勇気を得た。つまり、人生の暗い闇にも立ち向かう勇気。鍵は勇気の鍵である。

またこれは現実社会にもリンクしている。カエルはフランコ政権で、枯れた木は民衆(民主主義)である。ファシズム政権によって民衆は枯れ木のように英気を失った状態を表す。

ラストで木に咲く花は希望の花。勇気ある行動は、希望の花を咲かせる=次世代のいのちとなることを意味する。

2つめの試練

母が病気でオフェリアが試練をサボっていた頃、パンが現れマンドラゴラの根を渡され、ミルクに浸して母のベッドの下に置けと言う。マンドラゴラは昔、魔術や錬金術の材料としてよく使われていた植物。

2つ目の試練は、ペイルマンがいる宮殿に行き、黄金の鍵を使って剣を得ること。ただし絶対に食べたり飲んだりしてはならない。だがオフェリアは空腹のあまり、ブドウを食べてしまう。

2つ目の試練の意味は「不服従」である。オフェリアは服従が試されたこの試練で、悉く服従しない。食べ物を食べただけではなく、妖精が導いた真ん中を無視し左の鍵を開け、砂時計の時間も過ぎた。

また、食べ物を管理するペイルマンは、ビダル大尉及びフランコ政権の姿である。つまり2つめの試練は、独裁権力に対する不服従をあらわしている。

この後、現実世界ではフェレイロ医師が名言を残し殉職した。
「何の疑問も抱かずひたすら従うのは、心のない人間にしか出来ないことだ」



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3つめの試練

母カルメンは赤ん坊を生んで亡くなる。一方ゲリラのスパイ・メルセデスは身の危険を感じ、オフェリアを連れ逃げ出そうとするがビダルに捕まる。部屋に閉じ込められたオフェリアの元にパンが現れる。

3つ目の試練は、無垢な者の血を迷宮に捧げること。そうすれば地底への扉が開かれる。しかしオフェリアはそれを拒否し、赤ん坊(弟)のため王女の権利を捨てる覚悟を決める。

最後の試練は「」を意味する。オフェリアは今までの試練を合わせた「勇気ある不服従」を行使し、パンの命令を拒否し、赤ん坊の身代わりとなって自分の身を犠牲にした。

他者の為に自分を犠牲にすること、これ以上の愛はないのである。なので3つめの試練でオフェリアが獲得したものは「愛」である。これらはすべてキリストの十字架のメタファーである。

ラスト結末

オフェリアの行動は失敗したかに思われたが、ビダルに撃たれ目を覚ますと、地底の王国にいた。そこには王と月の女神がいて、オフェリアはモアナ王女として大歓迎を受ける。

最も重要な最後の試練「愛」を獲得したオフェリアは、すべての試練を見事乗り越えたのだった。それゆえ彼女の故郷(おとぎ話の魔法の国)=天国へ帰ることができた。

ラストに咲いた花(オフェリアの愛の精神)は、希望の花となり、次世代に受け継がれていく。

以上が映画『パンズ・ラビリンス』で描かれていたこと。ギレルモ・デル・トロはもっと分かり易い言葉でヒントを与えてくれています。そのキルケゴールの素敵な言葉で最後を締めたいと思います。

「暴君の統治はその死によって終わるが、殉教者の統治はその死によって始まる」

↓『パンズ・ラビリンス』に似たダークファンタジー

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