『ローガン・ラッキー』ネタバレ感想評価 7つの疑問解説と兄弟が強盗をした本当の理由


『ローガン・ラッキー』予告動画

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『ローガン・ラッキー』作品情報

2017年アメリカ映画(原題:Logan Lucky)
スティーブン・ソダーバーグ監督がレベッカ・ブラントのオリジナル脚本を映画化したクライムコメディ。出演チャニング・テイタム、アダム・ドライバー、ダニエル・クレイグ、ライリー・キーオ、セス・マクファーレン、キャサリン・ウォーターストン、ヒラリー・スワンク。

『ローガン・ラッキー』あらすじ

舞台はウエストバージニア。季節労働者のジミー・ローガン(チャニング・テイタム)は、足の障害が原因で仕事を解雇されてしまう。一人娘セイディ(ファラ・マッケンジー)と会うため別れた妻の家を訪れるが、引っ越すことを告げられる。仕事を失い、娘とも離れ離れになりつつあるジミーは、義手の弟クライド(アダム・ドライバー)と妹メリー(ライリー・キーオ)と共にNASCARレース場の売上金を奪うことを計画するが…。

『ローガン・ラッキー』感想評価

前半に感想評価、中盤以降は7つの疑問点(ネタバレ含む)を解説します。

『ローガン・ラッキー』は、うだつのあがらないローガン兄弟が、NASCARレース場から大金を盗む計画を描いたクライム・コメディです。

TVに活躍の場を移していた『オーシャンズ11』などのスティーブン・ソダーバーグ監督の映画復帰作となっています。ソダーバーグ監督はこの脚本を大変気に入り、どうしても自分が監督したいと思ったそうです。脚本家のレベッカ・ブラントという人物は素性が知られておらず、監督の妻もしくは監督本人じゃないかと言われていますが、真相は不明です。

『ローガン・ラッキー』の感想ですが、なかなか面白かったです!というよりこの映画は実はスゴイです!

オーシャンズシリーズに似た作りですが(監督曰くダメ人間版オーシャンズ)、脚本がかなり緻密に計算されていてビックリします。初見だと前半のダラダラした展開に退屈に感じるかもしれませんが、あれは観客を騙すためにわざとやっているんですね。

兄弟のスローなテンポに絶対成功しないと思いませんでしたか?
こいつら何やってんの?って。

でも、ラストで観客は見事にローガン兄弟に騙されます!!

前半のダラダラの中に伏線が全部置かれていて、2回目以降の観賞で、綿密に作られているのが分かり驚きますよ。

あと『ローガン・ラッキー』で一番褒めたい所は、親子の絆をベタなドラマにしないで、「カントリーロード」1曲で表現したことです。娘が発表会で歌うシーンは本当に見事の一言。

セリフでごたくを並べるんじゃなく、娘がいかに父親を想っているか、あの歌だけで強烈に分かってしまう。親子の絆の深さを表すのに最高な表現だったと思います。オープニングの車を修理しながらの親子の会話の伏線を完璧に回収していますね。感動しないわけがない。

さて、この映画は1回見ただけじゃ分からない箇所が沢山あると思いますので、その疑問点の解説とローガン兄弟が銀行強盗をした本当の理由も説明したいと思います。



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7つの疑問点解説(ネタバレ)

NASCARとは?


NASCAR(National Association for Stock Car Auto Racing)は、全米で人気No.1のモータースポーツ。

観客も毎回超満員でF1より全然人気があります。かつては市販車を改造したストックカーで行われていましたが、現在は市販車に似せた純レーシングカーを使用。コースは楕円形で、そこをグルグル回る。時速300km以上で走行する世界でも稀な高速レースです。日本車ではトヨタが参加しており何度も優勝しています。

『ローガン・ラッキー』で描かれた計画実行の日が、NASCARの人気レースのひとつ「コカ・コーラ600」。NASCARの聖地シャーロット・モーター・スピードウェイで行われ、映画にある通り超満員の観客で埋め尽くされ、数百万の視聴者がTV観戦する注目の1戦です。ですから売店の売上も凄い額になりそう。

ローガン家の呪い?


ローガン家は3人兄弟。兄のジミーは離婚しており怪我の影響で足を引きずって歩く。弟のクライドはイラク戦争で左腕を失って義手。妹のメリーは美容師で車オタク。

クライドや周りはローガン家の不運をローガンの呪いと言うけれど、実はこの一家強運の持ち主です。ジミーは屋根から落ちたのに足だけで済んだし、弟も戦争で命を失ってない。メリーは別に何にもないし。

そして無謀な計画を完璧に成功させる。刑務所所長やレース場支配人さえ結果として彼らをアシストしてしまう。だからアンラッキーじゃなく「ローガン・ラッキー」なのです。ローガン家は強運一家です。

しかし、ラストのFBI捜査官サラ(ヒラリー・スワンク)の登場と、ビールを掴むクライドの義手の意味ありげなラストショットが少し気になります。あと一歩のところで運に見放されるローガン家を表しているのか?

ゴキブリを入れたのは何故?

ゴキブリをパイプに入れたのは、どのパイプが金庫に繋がっているか調べるため。だからゴキブリの背中に色を塗り、ピンクのゴキブリが金庫室に到着しました。

また金庫を清掃した際、ジョー(ダニエル・クレイグ)の弟サムとフィッシュも潜り込んでいたので、金庫室の造りを知る為でしょう。

加えて、金庫番の女性の車を傷つけたのは警備員を外に出させる為。それにより5時半に閉まる金庫内にケーキを放置することが出来ました。

小屋を爆破した意味は?

サムとフィッシュのバング兄弟が混ぜた薬品を投げ入れ爆発させた小屋は、通信システムか何かだと思われます。

あれにより、レース場の売店のクレジットカードが使えなくなり、すべて現金払い(cash only)になったので大金を盗むことが可能になりました。

ジョー・バングが水を飲むシーンの意図

ジョーが作業所の水道水を飲んだのは、腹を壊すためです。

ジョーは吐いて医務室に運ばれる必要があったので、わざと汚い水を飲んだのです。



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何故ジョーは庭の掘る場所が分かったのか?

誰かがジョーの家のドアを叩き、ジョーが外に出るとスコップが置いてありました。ジョーはピンと閃き、庭を掘りゴミ袋に入ったお金を見つけるのですが、何故掘る場所が分かったのでしょう?

それはローガン兄弟が初めてジョーに面会した時の会話に答えがあります。ジョーが隠したお金のありか(庭の赤いブランコの下)を弟が妻に話してしまい、持ち逃げされたと話しています。

ジミーはなぜ盗んだ大金を返したのか?

ジミーが苦労して盗んだお金のほとんどを返してしまったのは理解に苦しむところです。

しかしこれにはジミーの意図があります。ひとつはローガン家の家訓「欲張りすぎない」に従っていること。

さらに最も重要なのは、お金を返すことによりレース場が告訴を取り下げ、捜査を終了させる目的のため(レース場の支配人がケースオーバーをFBIに告げている)。

これはローガン家のもうひとつの家訓「想定外を考える」にも従っています。FBIの想定外の追及に対処するには、事件を終わらせるのが一番ですから。

この「カリフラワー計画(笑)」は、完璧に考えられた計画だったのです!

そしてそれは、ジミー・ローガンが銀行強盗をした本当の理由へと繋がっていきます。

ローガン兄弟が強盗をした本当の理由

ジョン・デンバーの「カントリーロード」やリアン・ライムスが歌う「アメリカ・ザ・ビューティフル」(レース開始前の歌)が象徴するように『ローガン・ラッキー』は、監督の「アメリカへの想い」が詰まった風刺映画です。

映画が描くローガン家は、アメリカ中間層の代表みたいな存在です。対して、ジミーの元妻の夫ムーディは富裕層です。これはアメリカの二極化の現状を表しています。

ローガン兄弟は貧困層のように見えますが、彼らはアメリカ中間層です。ジミーのようにトレーラーで暮らしたり、携帯料金が払えなかったり、中間層はここまで落ちぶれてしまったのです。

またクライドは退役軍人ですが、アメリカでは軍がスーパーマーケットの駐車場とかで入隊を勧誘しています。入隊すれば奨学金が貰えたりメリットがあるので、経済的に苦しい家庭では選択肢のひとつになります。だからローガン家のような人々はアメリカでは周りにゴロゴロいるのです。

このようにアメリカではもはや中間層は消滅しつつあり、富裕層と貧困層の二極化が進んでいます。それがトランプ大統領誕生の背景。「古き良きアメリカを取り戻す」をスローガンに多くの支持を集めました。一方トランプ批判は、メディアを始めとするエリート層が主。

この古き良きアメリカへの想いを代表するような曲が「カントリーロード」なんですね。

だから国に忘れられていた多くのアメリカ人の心に深く染み入るんです。その歌をアメリカを象徴する男ジミーのために歌ったということは、監督のアメリカに対するメッセージです。

さて、ジミーが強盗を計画した本当の理由ですが、それは保険会社への復讐のためです。

ジミーは足が不自由という理由、つまり保険契約上の違反によって仕事をクビになりました。保険関係でクビになったとジミーが言っています。ジミーにとっては仕事をする上で足は問題ないのに、不当に解雇されたわけです。ですから保険会社に復讐したのです。

レース場もほとんどお金が戻ってきたし損失分以上を保険でカバーできたので満足しています。この強盗事件では誰も損をしていないのです。

唯一損害を被ったのが保険会社だけということを考えると、始めからジミーは保険会社を狙っていたと言えます。きっちり本来の雇用期間の給料分は返してもらったという訳です。勿論もっと盗っていると思いますが笑。つまり没落した中間層が、エリート層にひと泡吹かせたのです!

この映画のような構図は最近のアメリカ映画に多く見られ、『最後の追跡』も全く同じ構図です。

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以上のように、『ローガンラッキー』は現代アメリカ社会をコメディチックに風刺した痛快劇で完成度の高い映画です。是非何度か見直して各所に置かれた伏線を確認してみてください!

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